涼州詞 王之渙(りょうしゅうのし おうしかん)

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涼州詞 王之渙
黄河遠上白雲間
一片孤城万仭山
羌笛何須怨楊柳
春光不度玉門関

涼州詞(りょうしゅうのし) 王之渙(おうしかん)
黄河(こうが) 遠(とお)く上(のぼ)る 白雲(はくうん)の間(かん)
一片(いっぺん)の孤城(こじょう) 万仭(ばんじん)の山(やま)
羌笛(きょうてき) 何(なん)ぞ須(もち)いん 楊柳(ようりゅう)を怨(うら)むを
春光(しゅんこう)度(わた)らず 玉門関(ぎょくもんかん)

現代語訳

黄河をはるばる遡り、白雲の中へと分け入っていくと、
険しい山々に囲まれて、ぽつんと小さな城がある。

その城から羌笛の音が響いてくる。羌の人たちよ、そうやって悲しい音色で
我々の郷愁を誘い、戦意をくじこうなんて、そんなことする必要は無いのだ。

どうせ春の光はこの玉門関の外までは届かないのだから。

語句

■黄河遠上 黄河をどこまでもさかのぼって。 ■一片 たった一つの。 ■孤城 ぼつんと一つだけある城砦。ここでは玉門関。 ■萬仞山高い山。一仞は八尺。「孫子」形篇に「積水を千仞の谷に決するが如き者は形なり」と。 ■羌笛 敵である羌族(チベット系の民族)が吹く笛。 ■何須 どうして~する必要があろうか。いや、無い。 ■楊柳 別れを惜しむ「折楊柳」の曲。中国では旅人を見送る時、柳の枝を折ってはなむけにする習慣があった。李白「春夜洛城に笛を聞く」に出てくる。 ■恨 「折楊柳」の悲しげな曲調。また、それを聴いて恨めしい気分になること。 ■玉門関 西域地方との境界にある、さいはての関所。李白「子夜呉歌」に登場。

解説

涼州詞】は、玄宗の頃流行した曲名で、それに色々な歌詞がつけられました。この王之渙のほか、王翰の「涼州詞」が有名です。

ちょっとわかりにく理論ですが、ようは戦意どころじゃないのです。

敵の羌族はわれらの戦意をくじくために悲しい曲を笛吹くが、敵さん、そんなするまでもないですよ。こっちはもうグッタリです、戦意喪失しまくりなんです。カンベンしてくださいと。

王之渙(688-742)。盛唐の詩人。晋陽(山西省太原)の人。字は李陵。王昌齢高適らと交流がありました。現存する詩は六首。「登鸛鵲楼」「涼州詞」が有名です。

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朗読:左大臣光永

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