除夜作 高適(じょやのさく こうせき)
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除夜作
旅館寒燈独不眠
客心何事轉凄然
故郷今夜思千里
霜鬢明朝又一年
除夜の作
旅館の寒燈 独り眠らず
客心 何事ぞ 転(うた)た凄然たる
故郷 今夜 千里を思う
霜鬢 明朝 また一年
現代語訳
大晦日の夜に旅館の寒々とした灯りの下、眠らずにいる。
旅人の心に、どうしたことだろう…痛ましい気持がこみ上げてくる。
この夜、千里離れた故郷のことを思う。
明日の朝はもう新しい年だ。この鬢の白髪もまた年を重ねるのだなぁ…。
解説
大晦日の夜に、どこか故郷から遠く離れた旅の宿で泊まっているのです。
孤独な大晦日を送っている方には、思い出してほしい漢詩です。
【除夜の鐘】については一言も語られていませんが、いかにもこれから響いてきそうです。
【寒燈】 寒々とした灯り。作者の心情をうつす。
【客心】 旅人の心。旅愁。
【何事】 どうしたことだろう。 【轉】 ますます。いや増しに。
【悽然】 痛ましいさま。悲しいさま。
【故郷今夜思千里】 今夜、千里へだてた故郷のことを思う。または、
今夜、故郷では千里へだてた私のことを思っているだろう。
【霜鬢】 霜のように白くなった鬢。
高適(こうせき)(702?-765)。字は達夫、または仲武。渤海(河北省)の人。五十歳で詩を志し、たちまち名声を得る。辺塞詩でも有名です。
若い時は家業を怠り落ちぶれ果て、遊侠の徒と交わったりしました。一時推薦されて地方官になるも、すぐに辞めて辺境地方をぶらつきます。
しばらく任官したり辞めたりを繰り返していましたが安禄山の乱をきっかけに昇進。刑部侍郎・散騎常侍と経て渤海県侯にまで出世します。
岑参と作風が似るので、高適・岑参あわせて「高岑」と呼ばれることもあります。
年間行事の時こそ家族と離れているわびしさを感じる…
王維「九月九日山東の兄弟を憶う」も、この主題を扱っています。
張継「風楓夜泊」も、旅先の情ということで似た雰囲気があります。
そのほか、【夜】を詠んだ詩 ≫
李白「静夜思」
陸機「赴洛道中作」
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