田家の春望 高適(でんかのしゅんぼう こうせき)

田家春望
出門何所見
春色満平蕪
可嘆無知己
高陽一酒徒

田家の春望
門を出でて何の見る所ぞ
春色 平蕪に満つ
歎ず可し 知己無きを
高陽の一酒徒

現代語訳

門を出ても何ひとつ見るべきものはない。
野原に春が色めいているだけだ。

嘆かわしいのは俺を理解する者がいないことだ。
高陽の一酒徒たる、この俺を!

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解説

理解者のいないことを嘆いてる詩です。ちょっとヤケクソ気味ですかね。

【田家】は田舎。【春望】は「春の眺め」のこと(杜甫の「春望」は有名ですね)。

【高陽の一酒徒】は『史記』に見える【レイ食其】の故事から。

劉邦に仕えたレイ食其は最初自分を売り込みに参内した時、その身なりから「儒者に用は無い」と追い返されそうになりました。

レイ食其は怒って、「俺は儒者ではない。高陽の一酒徒(酒飲み)だ」怒鳴ります。劉邦はこの言葉を気に入ってレイ食其を用いたという話です。(「高陽」は地名。レイ食其の故郷)

高適(702?-765)。字は達夫。渤海(現河北省)の人。安史の乱がきっかけで昇進するまではヤクザ者と交わったり辺境の地をさまよったり、…いろいろあったようです。代表作「除夜作」。
朗読:左大臣