絶句 杜甫
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絶句 杜甫
両箇黄鸝鳴翠柳
一行白鷺上青天
窓含西嶺千秋雪
門泊東呉萬里船
絶句 杜甫
両箇(りょうこ)の黄リ(こうり) 翠柳(すいりゅう)に鳴き
一行の白鷺(はくろ) 青天に上(のぼ)る
窓には含む西嶺(せいれい) 千秋の雪
門(かど)には泊(はく)す 東呉(とうご)万里の船
現代語訳
二羽のうぐいすが緑の柳に鳴き
一列の白鷺が青い天に上っていく。
窓の向うには西嶺(せいれい)の万年雪が見え、
わが家の門のところには
東方の呉からはるか万里の旅をしてきた船が泊まっている。
語句
■両箇 二つ。 ■黄鸝 こうり。鶯。 ■翠柳 緑の柳。 ■一行 一列。 ■含 窓枠に景色がはめこまれているようなさま。 ■西嶺 成都西方の山。 ■千秋雪 万年雪。 ■門 杜甫の庵のそばには船の泊まる万里橋があった。ここから船は東方に向かった。 ■東呉 東のほうの呉の地方。江蘇省。
解説
広徳2年(764年)杜甫53歳の作。「李絶杜律」と言って李白は絶句、杜甫は律詩を得意としましたが、律詩を得意とする杜甫のこれは絶句です。一句と二句、三句と四句が対句になっており、もともと律詩の部分として作られたものかもしれません。
「両」と「一」「千」と「萬」という数の対比。「黄」と「白」、「翠(緑)」と「青」という色彩の対比。「西」と「東」という方位の対比が自然な流れの中に織りこまれており、情景としても、言葉の響きとしてもあざやかです。
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