確定申告おわりました・ロケット打ち上げの件・漢詩朗読

題烏江亭 杜牧
勝敗兵家事不期
包羞忍恥是男兒
江東子弟多才俊
捲土重來未可知

烏江亭(うこうてい)に題(だい)す 杜牧(とぼく)
勝敗(しょうはい)は兵家(へいか)も事期(ことき)せず
羞(はじ)を包(つつ)み恥(はじ)を忍(しの)ぶは是(これ)男児(だんじ)
江東(こうとう)の子弟(してい) 才俊(さいしゅん)多(おお)し
捲土重来(けんどちょうらい) 未(いま)だ知(し)るべからず

現代語訳

勝敗は兵法家でも予測することができない。
恥辱に耐え、巻き返しをはかるのが真の男児というものだ。

項羽の出身地である江東地方にはすぐれた人物が多い。

砂塵を巻き起こす勢いで劉邦をもう一度攻撃していたら、
どうなっていたかわからない。

語句

■烏江亭 安徽省和県にあった長江の渡し場。漢の劉邦に敗れた楚の項羽がここまで逃げ延びてきて絶命したという。 ■兵家 兵法家。軍事の専門家。 ■不期 予測できない。 ■江東 長江の東岸・南岸。江南。現在の江蘇省南部一帯。項羽の本拠地だった。 ■才俊 すぐれた人物。 ■捲土重来 土を捲き、重ねる来る。一度敗れた者が盛り返して逆襲すること。 ■未可知 どうなったかわからない。

解説

捲土重来(けんどちょうらい)」という言葉の出典となっている詩です。

項羽は日本でいう義経のように、負けたからこそ人気が高いって所があるようです。

紀元前202年、項羽は垓下の地で劉邦軍に幾重にも包囲されます。

この時、敵陣から故郷の楚の歌が聞こえてきたため、味方がみな降伏したと思い項羽は絶望した…四面楚歌の逸話はあまりに有名です。

また、項羽は垓下で愛妾の虞美人をも失います。「垓下の歌」参照。

それでも項羽なんとか敵の包囲網を突破し、わずかな手勢とともに烏江まで逃げ延びます。

烏江の亭長(宿場の長官)は「舟に乗って逃れ、再起をはかりなさい」とすすめますが、項羽はこれを断ります。

天が我を滅ぼしたのだ。どうして渡れよう。それに、江東の子弟八千人が我とともに西に渡ったのに、今はもう一人も残っていない。

仮に王になれたとしても、彼らの父兄に何の面目があって対面できようと。

こうして敵につっこんでいき、さんざんに戦い、自ら首をかき切って果てたということです。

杜牧には「赤壁」と題する詩があります。こちらは「赤壁の戦いにもし曹操が勝利していたら?」と仮定したものです。

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朗読:左大臣光永