出塞 王昌齢(しゅっさい おうしょうれい)

秦時明月漢時関
万里長征人未還
但使龍城飛将在
不教故馬度陰山

秦時の明月 漢時の関
万里長征して人いまだ還らず
但だ龍城の飛将をして在らしめば
故馬をして陰山を度(わたら)しめじ

現代語訳

明月は秦の時代と同じ明るさで辺りを照らし、
城砦は漢の時代と変わらぬ姿でそびえている。

こうして地の果てまで遠征してきたが、
いまだに戻ることができない。

漢の時代、「飛将」と呼ばれて
匈奴の本拠地・龍城をついた李広のような人物が
もし今現れてくれさえすれば…

夷敵の馬を陰山をわたしてわが国の領土に
入れたりなどしないだろうに。

解説

李広は漢の時代の武将。敵の匈奴をコテンパンにやっつけます。
敵から「飛将軍」と恐れられましたが、最期は戦功を認められず自刃しました。

子孫に、李陵がいます。中島敦の小説『李陵』に描かれた人物です。

【秦時・漢時】 秦の時代・漢の時代。
【関】 城砦。 【人】 自分のこと。

【但使】 ただ~でさえあれば。
【龍城】 砂漠の中にあった匈奴の根拠地。陥落させたのは衛青だが、
この詩では李広ということになっている。

【龍城飛将】 漢の時代に匈奴を攻撃した将軍・李広。
【故馬】 夷敵(野蛮人)の馬。
【陰山】 崑崙山から北へのびている山脈。

王昌齢の詩は「芙蓉楼にて辛斬を送る」が「一片の氷心 玉壷に在り」の文句でよく知られています。

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