桂林荘雑詠示諸生 広瀬淡窓(けいりんそうざつえいしょせいにしめす ひろせたんそう)

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桂林荘雑詠示諸生 広瀬淡窓
休道他郷多苦辛
同袍有友自相親
柴扉暁出霜如雪
君汲川流我拾薪

桂林荘雑詠(けいりんそうざつえい)諸生(しょせい)に示(しめ)す 広瀬淡窓(ひろせたんそう)
道(い)うを休(や)めよ 他郷(たきょう)苦辛(くしん)多(おお)しと
同袍(どうほう) 友有(もとあ)り 自(おのず)から相親(あいした)しむ
柴扉(さいひ) 暁(あかつき)に出(い)づれば 霜(しも) 雪(ゆき)の如し
君(きみ)は川流(せんりゅう)を汲(く)め 我(われ)は薪(たきぎ)を拾(ひろ)わん

現代語訳

故郷を離れて苦労が多いなんて、そんなこと言うな。
ここには志を同じくする仲間がいる。
助け合いの楽しみも自然と生まれてくる。

夜明けに柴の戸を押して外に出ると、霜が雪のように積もっている。
君は川の水を汲んできてくれ。僕は薪を拾ってくるから。

語句

■休道 言うをやめよ。 ■他郷 異国。李白「客中行」に「不知何處是他郷」と。 ■苦辛 苦労。 ■同袍 一枚の綿入れ(どてら)を共有するほどの親しい仲間。 ■自 自然と。 ■相親 お互いに親しむ。助け合い。 ■柴扉 柴の戸。 ■川流 川の水。

解説

塾で学んでいる、共同生活です。苦労もあるが、みんなでワイワイ。役割分担して、楽しいのです。

広瀬淡窓(1782-1856)。江戸時代の儒学者・漢詩人。豊後国日田(ひた。大分県日田市)の人。淡窓は号。

身分に関係無く学べる私塾「咸宜園(かんぎえん)」を開き教育に励みました。

「桂林荘」は、その「咸宜園」の前身となった塾です。

高野長英、中島大華、大村益次郎らを輩出しました。全国から集まった門人は、のべ四千人にものぼりました。

大分県日田市淡窓に「史跡咸宜園跡」があります。

朗読:左大臣光永

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