偶成 西郷隆盛(ぐうせい さいごうたかもり)
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偶成 西郷隆盛
幾歴辛酸志始堅
丈夫玉碎恥甎全
一家遺事人知否
不爲兒孫買美田偶成(ぐうせい) 西郷隆盛(さいごうたかもり)
幾(いく)たびか辛酸(しんさん)を歴(へ)て 志(こころざし)始(はじ)めて 堅(かた)し
丈夫(じょうぶ)は玉碎(ぎょくさい)するも甎全(せんぜん)を恥(は)づ。
一家(いっか)の遺事(いじ) 人知(ひとし)るや否(いな)や
児孫(じそん)の為(ため)に美田(びでん)を買(か)わず
現代語訳
何度か辛いことにぶつかって、
私の志ははじめて固まった。
男児は玉のように立派に死ぬべきである。
つまらぬ者となって生きながらえるのは恥だ。
私の家の家訓を誰か知っているか。
「子孫のために財産など遺すな!」
語句
■丈夫】 立派な男児。 ■甎全 「甎」は敷き瓦。「全」は安全。瓦のようにつまらないものになって、
リスクを犯さず生きること。「瓦全」に同じ。 ■一家遺事 家訓 ■美田 肥沃な田。財産。
解説
「男児志を立てて郷関を出づ」の「将に東遊せんとして壁に題す」(釈月性)と並んで、気合の入る漢詩です。
「児孫の為に美田を買はず」…親が財産を遺すと子は堕落する。だから何も遺すな。一代で燃焼しろと!
さすが西郷さんの家。筋の通った教えです。こういうキチッとした家ならニートや引きこもりなんか出ないでしょう。
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朗読:左大臣光永