偶成 西郷隆盛(ぐうせい さいごうたかもり)
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幾歴辛酸志始堅
丈夫玉碎恥甎全
一家遺事人知否
不爲兒孫買美田
幾たびか辛酸を歴(へ)て 志始めて 堅し
丈夫は玉碎するも甎全(せんぜん)を恥づ。
一家の遺事 人知るや否や
児孫(じそん)の為に美田を買はず
現代語訳
何度か辛いことにぶつかって、
私の志ははじめて固まった。
男児は玉のように立派に死ぬべきである。
つまらぬ者となって生きながらえるのは恥だ。
私の家の家訓を誰か知っているかね。
「子孫のために財産など遺すな!」
解説
「男児志を立てて郷関を出づ」の「将に東遊せんとして壁に題す」(釈月性)と並んで、気合の入る漢詩です。
「児孫の為に美田を買はず」…親が財産を遺すと子は堕落する。だから何も遺すな。一代で燃焼しろと!
さすが西郷さんの家。筋の通った教えです。こういうキチッとした家ならニートや引きこもりなんか出ないでしょう。
【丈夫】 立派な男児。
【甎全】 「甎」は敷き瓦。「全」は安全。瓦のようにつまらないものになって、
リスクを犯さず生きること。「瓦全」に同じ。
【一家の遺事】 家訓 【美田】 肥沃な田。財産。
国道沿いの神社で録音しました。小雨が降ってましたが、あまり寒くなかった。春はすぐそこって感じでした。
≫言い間違いがあったので再録しました。別の神社で。今度は風が強烈でした。
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