磧中作 岑参(せきちゅうのさく しんじん)

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岑參は辺塞詩で知られます。辺塞詩。
すなわち、遠く都を離れた辺境の地で、
異民族との戦いに備え防衛にあたる、兵士たちの気持ちや生活を
詩に託したものです。岑參は安西節度使、安西北庭都護の書記官として
二度西域へ赴任した経験をもとに多くの優れた辺塞詩を作りました。

岑參の詩の中でも、教科書などに採りあげられ
もっとも有名なものが、「磧中の作」です。

磧中作 岑參
走馬西来欲到天
辞家見月両回円
今夜不知何処宿
平沙万里絶人煙

磧中の作 岑參
馬を走らせて西来 天に到らんと欲す
家を辞して月の両回 円(まどか)なるを見る
今夜 知らず 何れの処にか宿せん
平沙万里 人煙を絶つ

現代語訳

馬を走らせて西へ西へと進んでいくと、
このまま天までたどり着けそうに思えてくる。

家を出てから月が二回満ちるのを見た。
今夜はどこに泊まろうか。見当もつかない。

見渡す限りの砂漠で、人家の煙は一筋も見えない。

語句

■欲到天 中国の北西は少しずつ地面が高くなっていき、どこまでも続くのが、まるで天にたどり着くようだとたとえた。 ■磧 小石まじりの砂原。 ■月両回円 満月が二回来るのは、二か月経っていること。 ■平沙 まっ平らな砂漠。

解説

どこまでも続く、砂漠の気色が目に浮かぶ詩です。ひんやりとした砂漠の夜の空気も、伝わってくるじゃないですか。今夜泊まる所も無い、泊めてくれそうな民家も無い。旅人の心細さが、しみじみ伝わってきます。

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朗読:左大臣光永

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