対酒 白楽天(さけにたいす はくらくてん)

本日は白楽天の「対酒(酒に対す)」。短いです。

対酒 白楽天
蝸牛角上争何事
石火光中寄此身
随富随貧且歓楽
不開口笑是痴人

酒に対す
蝸牛角上 何事をか争う
石火光中 この身を寄す
富に随い貧に随いて且く歓楽せん
口を開いて笑わざるは是痴人

【現代語訳】
カタツムリの角の上のような狭い世界で何をそんなに争うのだ。

火打石が一瞬だけ光を放つような、そんな短い人生に身を寄せているのだ。
富める者も貧しい者も、おのおの楽しもうではないか。

口を開けばまず笑え。笑わないのはバカという。

………

蝸牛角上の争い」は、『荘子』に見える故事です。カタツムリの右の角の上に触氏、左に蛮氏という国があって、互いに争っていた。

バカらしいと思いますか?思いますよね。では私たちの国だって宇宙から見たらなんぼのもんですか。

そう言って、王に戦争する愚を説いた、という話です。

カタツムリの角の上でウォーウォーと雄たけびをあげて合戦してる図は、想像すると微笑ましいものがあります。

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朗読:左大臣光永