劉景文に贈る 蘇軾
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贈劉景文 蘇軾
荷尽已無擎雨蓋
菊残猶有傲霜枝
一年好景君須記
正是橙黄橘緑時
劉景文(りゅうけいぶん)に贈(おく)る 蘇軾(そしょく)
荷(はす)は尽(つ)きて 已(すで)に雨(あめ)に擎(ささ)ぐるの蓋(かさ)無(な)く
菊(きく)は残(おとろ)えて 猶(な)お霜(しも)に驕(おご)るの枝(えだ)あり
一年(いちねん)の好景(こうけい) 君(きみ)須(すべから)く記(しる)すべし
正(まさ)に是(これ) 橙(とう)は黄(き)に橘(きつ)は緑(みどり)なる時(とき)
現代語訳
蓮の葉は枯れてしまい、
雨を受けていた傘も、今は無い。
菊の花は凋み、何本かの枝が
霜に耐えて伸びている。
一年のうちのよい眺めを、
ぜひ記憶に留めてほしい。
特に今。ユズは黄色く色づきミカンはまだ緑色の季節を。
語句
■劉景文 名は季孫。景文は字。杭州で民兵を率いていた人物。蘇軾は赴任先の杭州で劉と知り合い、その人柄にほれこんだ。 ■荷尽 蓮の葉がすっかり枯れたこと。 ■擎 高く掲げること。 ■蓋 かさ。蓮の葉をたとえる。 ■菊残 菊が盛りをすぎて衰えたこと。 ■傲霜 霜に打たれても負けない。 ■好景 よい景色。 ■橙黄橘緑 晩秋から初冬にかけての風物。
解説
蘇軾が赴任先の杭州で知り合った人物、劉景文に贈った詩。晩秋から初冬にかけての景色を描きます。
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朗読:左大臣光永