江陵愁望有寄 魚玄機
■【中国語つき】漢詩の朗読を聴く
■【古典・歴史】メールマガジン
■【古典・歴史】YOUTUBEチャンネル
▼音声が再生されます▼
江陵愁望有寄 魚玄機
楓葉千枝復万枝
江橋掩映暮帆遅
憶君心似西江水
日夜東流無歇時
江陵(こうりょう)の愁望(しゅうぼう) 寄(よ)する有(あ)り 魚玄機(ぎょげんき)
楓葉千枝(ふうようせんし) 復(ま)た万枝(ばんし)
江橋(こうきょう)に掩映(えんえい)して暮帆(ぼはん)遅(おそ)し
君(きみ)を憶(おも)えば心(こころ)は西江(せいこう)の水(みず)に似(に)たり
日夜(にちや) 東(ひがし)に流(なが)れ歇(や)む時(とき)無(な)し
現代語訳
幾千幾万にも重なった楓の枝葉が
橋の上を覆っています。
夕暮れ時、あなたはまだお帰りになりません。
あなたのことを思うと、心は西江の水のよう。
昼も夜も絶え間なく、東に向けて流れ続けるのです。
語句
■江陵 長江下流域。 ■愁望 愁いに沈んだ気持。 ■江橋 川にかかった橋。 ■掩映 覆い隠すこと。 ■暮帆 夕暮れの船の帆。夫の帰りを象徴。 ■西江 中国南部、華南地区を流れる川。黄河、長江につぐ大河。
解説
魚玄機(843-868)。晩唐の女流詩人。字は幼微。長安の人。
森鴎外の小説「魚玄機」に描かれています。
夫を待つ妻の気持ちを歌っています。
次の漢詩「秋怨 魚玄機」
朗読:左大臣光永