偶成 朱熹(ぐうせい しゅき)
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偶成 朱熹
少年易老学難成
一寸光陰不可軽
未覚池塘春草夢
階前梧葉已秋声
偶成(ぐうせい) 朱熹(しゅき)
少年(しょうねん)老(お)い易(やす)く学(がく)成(な)り難(がた)し
一寸(いっすん)の光陰(こういん)軽(かろ)んずべからず
いまだ覚(さ)めず池塘春草(ちとうしゅんそう)の夢(ゆめ)
階前(かいぜん)の梧葉(ごよう)すでに秋声(しゅうせい)
現代語訳
少年が年老いていくのはあっという間だが、
学問がものになるのは大変難しい。
だから、わずかな時間も惜しんで一生懸命に勉強すべきなのだ。
春に池のほとりに草がゆらぐのを見ながらうつらうつらと夢を見ていたかと思うと、
庭先のアオギリはもう秋の気配を帯びている。
語句
■偶成 「たまたまできた」の意。朱熹の著作のどこを探してもこのタイトルの詩はないので、別人の作ではないかとも言われている。■池塘 池の堤。高駢「山亭夏日」に「楼台倒影入池塘」と。 ■春草夢 春草の萌える頃、まどろみの中に夢を見ていたこと。 ■階前 庭先の ■梧葉 アオギリが ■已秋声 もう秋の気配を漂わせている。
解説
朱子学で有名な、宋朝の学者、朱熹の有名な詩です。前半だけではただの説教で何の面白みもないですが、後半の美しい比喩がそれを中和しています。
朱熹(1130-1200)。姓は朱、諱は熹(き)、字は元晦または仲晦。「朱子」は尊称。
孔子・孟子以来の儒教と老荘思想などを混ぜ合わせて新しい儒教【朱子学】を作りました。『論語』の注釈書「集注」を著したことでも知られます。江戸幕府はこの朱子学を学問として重んじました。
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