梅花落 鮑照

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中庭雜樹多
偏為梅咨嗟
問君何獨然
念其霜中能作花
露中能作實
搖蕩春風媚春日
念爾零落逐寒風
徒有霜華無霜質

中庭に雜樹多きも、
偏えに梅の為に咨嗟す。
君に問う。「何ぞ独り然るや。」
「念え 其霜中に能く花を作し、
露中に能く実を作すを。
春風に搖蕩し 春日に媚ぶるも、
念え 爾らは零落して寒風を逐い、
徒らに霜華有って霜質無きを。」

現代語訳

中庭には様々な木があるが、
私が褒め称えるのは梅の木だけだ。

他の樹木が言うかもしれない。
「どうして梅ばかり褒めるのですか」と。

私は答えよう。
「考えみよ。霜の中でも花を開き、
露の中でも実を結ぶ。梅のすばらしさを。

お前たちは徒らに春風に揺れるばかりで
暖かい春の日には競って咲くが、
いざ寒い風が吹いてくると枯れ萎んでしまうじゃないか。

霜のように花は開くけれど、霜のような根性は
持っていないじゃないか。」


漢詩の中で「梅」はよく清廉潔白な人物…
「人としてこうありたい!」という人物に
たとえられます。

鮑照(412?-466)。南北朝時代の詩人。字は明遠。
謝霊運・顔延之と並び「元嘉の三大家」と称されます。

最後の官職「前軍参軍」にちなみ、後世「鮑参軍」と称されます。

杜甫は「春日李白を憶う」の中で、李白の詩の俊逸さを
「鮑照の詩のようだ」と例えています。

ほかに梅を詠んだ漢詩…
新島襄「寒梅」徳川斉昭「弘道館に梅花を賞す」ユ信「梅花」

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朗読:左大臣光永

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