【漢詩】柳宗元「夏初の雨後に愚渓を尋ぬ」

本日は、梅雨があけ、夏まっさかりとなった今の季節にぴったりの漢詩をおとどけします。

↓↓↓音声が再生されます↓↓

https://roudokus.com/mp3/Ryusougen2.mp3

夏初雨後尋愚渓 柳宗元
悠悠雨初霽
獨繞清渓曲
引杖試荒泉
解帯圍新竹
沈吟亦何事
寂寞固所欲
幸此息營營
嘯歌静炎燠

夏初(かしょ)の雨後(うご)に愚渓(ぐけい)を尋ぬ 柳宗元
悠悠(ゆうゆう)雨(あめ)初(はじ)めて霽(は)れ
獨(ひと)り繞(めぐ)る清渓(せいけい)の曲(きょく)
杖(つえ)を引(ひ)きて荒泉(こうせん)を試(こころ)み
帯(おび)を解(と)きて新竹(しんちく)を囲(かこ)む
沈吟(ちんぎん)亦(また)何(なに)をか事(こと)とせん
寂寞(せきばく)固(もと)より欲(ほっ)する所(ところ)
幸(ねが)はくは此(ここ)に営営(えいえい)を息(や)め
嘯歌(しょうか)して炎燠(えんいく)を静(しず)めん

現代語訳

夏のはじめ、梅雨が明けて愚渓(谷川の名。柳宗元が名付けた)を尋ねる
長い梅雨が終わって雨がようやく晴れ、
私は独り、清らかな渓流のほとりをぶらぶら歩く
杖を渡して荒れた泉の幅を調べ
帯を解いて新しく生えた竹のまわりを囲んで、太さをはかってみる
深く物思いに沈む以外、何ができようか
ひっそりした寂しさはもとより望むところである
どうかここであくせくするのをやめ
歌を口ずさんで、この燃えるような暑さを静めよう

語句

■愚渓 瀟水にそそぐ谷川。柳宗元が気に入ってこの名をつけた。 ■悠悠 長い時間。 ■霽 雨が上がる。 ■曲 ほとり。 ■引杖 杖を泉の上に渡して。 ■試 長さを試す。 ■沈吟 物思いに沈む。 ■寂寞 ひっそりと寂しいこと。 ■營營 あくせくすること。 ■炎燠 焼けるような暑さ。

……
襖絵に描かれた文人画のような、浮世離れした仙人のような世界を描き出しています。

こちらもどうぞ
柳宗元「江雪」
https://kanshi.roudokus.com/kousetsu.html

高駢「山亭夏日」
https://kanshi.roudokus.com/santeinokajitsu.html

朗読:左大臣