白楽天「湖中に宿す」

こんにちは。左大臣光永です。

先日、京都市東山区で平清盛の邸宅「六波羅邸」の堀が出土したそうです。京都新聞の一面に、発掘中の石垣の写真が出ていました。

平清盛の六波羅邸といえば、これまでなんの遺構も発掘されていなかっただけに、『平家物語』の中だけの、物語めいた、おとぎ話のようなイメージを私は抱いていました。

しかし!六波羅邸はたしかにそこにあったのだ、平家一門の人々が、六波羅邸に住み、悲喜こもごも繰り広げていたのだと、石垣の写真を見るにつけ、実感がわいて、うれしくなりました。今後の発掘が楽しみです。

本日は白楽天の「湖中に宿す」です。

作者白楽天が赴任先の蘇州で、名勝・太湖を訪れ、その夕暮れの景色を歌った詩です。

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宿湖中 白楽天

水天向晩碧沈沈
樹影霞光重畳深
浸月冷波千頃練
苞霜新橘万株金
辛無安牘何妨酔
縦有笙歌不廃吟
十隻画船何処宿
洞庭山脚太湖心

湖中に宿す 白楽天

水天 晩(くれ)向いかて 碧(みどり)沈沈(ちんちん)
樹影 霞光(かこう) 重畳(ちょうじょう)として深し
月を浸(ひた)す冷波(れいは)は千頃(せんけい)の練(れん)
霜を苞(つつ)む新橘(しんきつ)は万株(ばんしゅ)の金
幸(さいわ)いに安牘(あんとく)無し 何ぞ酔うを妨(さまた)げん
縦(たと)い笙歌(しょうか)有るも吟ずるを廃せず
十隻(じっせき)の画船(がせん)何処(いずこ)にか宿(しゅく)する
洞庭の山脚 太湖の心(しん)

■水天 湖と空。 ■沈沈 ひっそりと静まりゆくさま。 ■霞光 夕焼けの輝き。 ■重畳 幾重にも重なっていること。 ■千頃 とても広いこと。頃は広さの単位。5800ヘクタール。 ■練 練絹。 ■新橘 今年なったミカン。 ■万株金 どこまでも黄金のように連なっているさま。 ■安牘 職務上の書類=仕事。 ■笙歌 笙にあわせて歌うこと。または笙の音と歌声。 ■画船 いろどり豊かに彩色した船。 ■洞庭 太湖にうかぶ洞庭山。洞庭西山と洞庭東山があるが、洞庭東山は岸から突き出した半島。 ■心 中心。

湖の水と天とが、日が暮れるに従って、緑色にひっそり静まり返る。
木々の影が、夕暮れ時の光の中、幾重にも重なって奥深い。

月を映した冷ややかな波は、どこまでも広がる練絹のように輝いている。
霜に包まれたミカン畑が、どこまでも黄金のように続いている。

幸い、仕事は無い。どうして酔うことを妨げようか。
たとえ笙の音が、歌声が響いていても、詩を吟ずることをやめるものか。

十隻のいろどり豊かに彩色した船をどこに停めようか。そうだ。湖の中心、洞庭山のふもとがいい。

……

蘇州刺吏(そしゅうしし)として蘇州に赴任した作者が、蘇州の名勝地・太湖にあそんで、その夕暮れの景色を詠んだ詩です。白楽天の蘇州滞在は一年ほどでしたが、役人として多忙な毎日の中、暇を見ては蘇州の名勝地を訪ねてまわり、詩にあらわしました。

水天 晩(くれ)向いかて 碧(みどり)沈沈(ちんちん)
■水天 湖と空。 ■沈沈 ひっそりと静まりゆくさま。 
湖の水と天とが、日が暮れるに従って、緑色にひっそり静まり返る。

樹影 霞光(かこう) 重畳(ちょうじょう)として深し
■霞光 夕焼けの輝き。 ■重畳 幾重にも重なっていること。 
木々の影が、夕暮れ時の光の中、幾重にも重なって奥深い。

月を浸(ひた)す冷波(れいは)は千頃(せんけい)の練(れん)
■千頃 とても広いこと。頃は広さの単位。5800ヘクタール。 ■練 練絹。
月を映した冷ややかな波は、どこまでも広がる練絹のように輝いている。

霜を苞(つつ)む新橘(しんきつ)は万株(ばんしゅ)の金
■新橘 今年なったミカン。 ■万株金 どこまでも黄金のように連なっているさま。
霜に包まれたミカン畑が、どこまでも黄金のように続いている。

幸(さいわ)いに安牘(あんとく)無し 何ぞ酔うを妨(さまた)げん
■安牘 職務上の書類=仕事。
幸い、仕事は無い。どうして酔うことを妨げようか。

縦(たと)い笙歌(しょうか)有るも吟ずるを廃せず
■笙歌 笙にあわせて歌うこと。または笙の音と歌声。
たとえ笙の音が、歌声が響いていても、詩を吟ずることをやめるものか。

十隻(じっせき)の画船(がせん)何処(いずこ)にか宿(しゅく)する
■画船 いろどり豊かに彩色した船。 
十隻のいろどり豊かに彩色した船をどこに停めようか。

洞庭の山脚 太湖の心(しん)
■洞庭 太湖にうかぶ洞庭山。洞庭西山と洞庭東山があるが、洞庭東山は岸から突き出した半島。 ■心 中心。
そうだ。湖の中心、洞庭山の

……

■李白 詩と生涯
http://sirdaizine.com/CD/Rihaku01.html

李白の代表的な詩33篇を選び、日本語と中国語で朗読し、現代語訳と解説を加えたものです。

時に豪快。時に繊細な、李白の詩の世界にとことんひたれます。

■オンライン版~百人一首 全首・全歌人 解説
http://sirdaizine.com/CD/Ogura100info3.html

小倉百人一首の全首を解説した解説音声+テキストです。
単に歌を「おぼえる」ということを越えて、深く立体的な知識が身につきます。

■静岡講演~武田信玄の生涯(一) 5/18
http://urx.red/lWkP

武田信玄の生涯を三回にわたって語ります。第一回は武田信玄の初陣・
信濃侵攻・村上義清との三度にわたる戦いまで。

■京都講演~菅原道真 6/22
http://sirdaizine.com/CD/KyotoSemi_Info2.html

京都にゆかりの歴史上の人物を一人ずつとりあげて語っていきます。
第一回は「菅原道真」です。

朗読:左大臣

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