田園楽 王維

田園楽 王維

桃紅復含宿雨
柳緑更帯春煙
花落家僮未掃
鶯啼山客猶眠

田園楽(でんえんらく) 王維
桃(もも)は紅(くれない)にして復(ま)た宿雨(しゅくう)を含(ふく)み
柳(やなぎ)は緑(みどり)にして更(さら)に春煙(しゅんえん)を帯(お)ぶ
花落ちて家僮(かどう)未(いま)だ掃(はら)はず
鶯(うぐいす)啼いて山客(さんかく)猶(な)お眠(ねむ)る

現代語訳

桃は紅く染まり、そして昨夜からの雨を含んでみずみずしく、
柳は緑に芽吹き、さらに春霞を帯びて、しっとりしている。
花びらが庭先に落ちているが、召使いはまだ掃除もしない。
鶯が啼くが、隠者はまだ眠っている。

解説

六言絶句というめずらしい形式の詩です。隠者の境地を歌った詩で、陶淵明の影響がみられます。

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朗読:左大臣光永