大風歌 漢高祖劉邦(たいふうのうた かんのこうそ りゅうほう)
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大風歌 漢高祖劉邦
大風起兮雲飛揚
威加海内兮歸故鄕
安得猛士兮守四方
大風歌(たいふうのうた) 漢高祖劉邦
大風(たいふう)起って 雲 飛揚(ひよう)す
威(い)は海内(かいだい)に加はって故郷に帰る
安(いず)くにか猛士(もうし)を得て四方(しほう)を守らしめん
現代語訳
激しい風が起こって、雲が舞い上がった。
(そのように戦乱が起こったが、ようやく平定することができた)
今やわが威光は天下に知れわたり、こうして故郷に帰るのだ。
さあどこで武勇に優れた勇者を集めて
これから国を守っていこうか。
語句
■大風起 建国のための激しい戦いがあったことを示す。 ■威 威光。 ■海内 天下。 ■兮 語調を整える言葉。『詩経』や『楚辞』の詩に多い。 ■安 いずくにか。どこで~しようか。 ■猛士 武勇に優れた勇者。
解説
BC202年劉邦は宿敵項羽を垓下の地に破り漢の皇帝(高祖)として即位します。
その後、韓信(かんしん)・彭越(ほうえつ)など建国に功のあった諸侯を粛清し、BC196年、淮南王英布(黥布 えいふ・げいふ)の反乱を鎮圧し国家の基盤を固めます。
その帰り道、故郷に近い沛(はい。江蘇省北端)で酒宴を催した劉邦が、感激に涙を流しながらが歌ったとされるのがこの「大風の歌」です。故郷に錦を飾ったのです。
一方、項羽が敗れる時の歌が「垓下の歌」です。こちらは悲痛です。
司馬遼太郎作『項羽と劉邦』は『史記』を下敷きにしながら、二人の性格がより掘り下げられていました。
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朗読:左大臣光永