去る者は日に以て疎し(さるものはひにもってうとし)

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去者日以疎 無名氏
去者日以疎
來者日以親
出郭門直視
但見丘與墳
古墓犁爲田
松柏摧爲薪
白楊多悲風
蕭蕭愁殺人
思還故里閭
欲歸道無因

去る者は日に以て疎(うと)し 無名氏
去る者は日に以て疎く
来る者は日に以て親しむ
郭門(かくもん)を出(い)でて直視(ちょくし)すれば
但(た)だ丘(きゅう)と墳(ふん)とを見るのみ
古墓(こぼ)は犁(す)かれて田と為(な)り
松柏(しょうはく)は摧(くだ)かれて薪(たきぎ)と為(な)る
白楊(はくよう) 悲風(ひふう)多く
蕭蕭(しょうしょう)として人を愁殺(しゅうさつ)す
故里(こり)の閭(りょ)に還(かえ)らんと思い
帰らんと欲するも 道 因(よ)る無し

現代語訳

死んだ者は日に日に忘れられ、
生きている者は日に日に親しさを増していく。

城門を出て眺めやれば、
ただ丘と墳墓が見えるだけだ。

古い墓は耕されて田となり、
松や柏は切り倒されて薪となる。

ハコヤナギの木に悲しげな風が吹き付ける。
それはもう悲しげで、胸がつまりそうになる。

故郷に帰りたくは思うのだが、
いかんせん、帰る方法が無い。

解説

古い墓を通りすぎる旅人の感慨。
ここで言う「去る者」は死者のことです。

ことわざ「去る者日々に疎し」は、そこから発展して
「一度遠のいてしまうと、どんどん疎遠になる」という意味になっています。

引越しなどで疎遠になるときに、
よく使うことわざですね。

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朗読:左大臣光永

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