七歩の詩 曹植(ななほのうた そうしょく)

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七歩詩 曹植
煮豆燃豆萁
豆在釜中泣
本是同根生
相煎何太急

七歩(ななほ)の詩(うた) 曹植(そうしょく)
豆(まめ)を煮(に)る豆の萁(まめがら)を燃(た)く
豆(まめ)は釜中(ふちゅう)にあって泣(な)く
本是(もとこれ)同根(どうこん)より生(しょう)ずるを
相煎(あいに)るなんぞはなはだ急(きゅう)なる

現代語訳

豆を煮るために豆がらを燃やす、
豆は釜の中で泣いているような音を立てる。
もともと一つの根から生じたものなのに、
どうしてこんなに酷くいたぶるのですか。

語句

■萁 豆を取った後の茎・枝など。 ■同根 根をひとつにすること。兄弟のたとえ。「同根相煎」は兄弟が争うこと。 ■急 激しく燃やすこと。

解説

『三国志』ファンにはおなじみのエピソードです。魏の曹操とその長男曹丕、三男曹植は文学的才能にもすぐれ、「三曹」と呼ばれていました。

曹操が没した後、曹丕が魏王の位につきますが、曹丕は曹植の才能を妬んでいました。

ある時ささいな事から難癖をつけ、「七歩歩くうちに詩を作れなければ死刑にする」と、ムチャを言い出します。

その時曹植が作った詩がこれとされます。自分たち兄弟のことを、釜の中で炒られている豆に例えているわけです。兄弟なのにこんな仕打ちは酷いといってるのです。

曹丕はこれを機に曹植の命を狙うのをやめたといいます(『世説新語』)。

ここから文才に優れしかも筆が早いことを「七歩の才」と言います。

別本に、

煮豆持作羹
漉鼓以為汁
萁在釜下燃
豆在釜中泣
本是同根生
相煎何太急

豆(まめ)を煮(に)て持(も)て羹(あつもの)を作(つく)りて
鼓(し)を漉(こ)して以(もっ)て汁(しる)と為(な)す
萁(まめがら)は釜底(ふてい)に在(あ)って燃(も)え
豆(まめ)は釜中(ふちゅう)に在(あ)って泣(な)く
本是(もとこ)れ同根(どうこん)より生(しょう)ず
相煎(あいに)る何(なん)ぞ太(はなた)だ急(きゅう)なる

次の漢詩「送応氏

朗読:左大臣光永

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