黄鶴楼送孟浩然之広陵 李白(こうかくろうにてもうこうねんのこうりょうにゆくをおくる りはく)

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黄鶴楼送孟浩然之広陵 李白
故人西辞黄鶴楼
烟花三月下揚州
孤帆遠影碧空尽
唯見長江天際流

黄鶴楼《こうかくろう》にて孟浩然《こうもうねん》の広陵《こうりょう》に之《ゆ》くを送る 李白
故人《こじん》西《にし》のかた黄鶴楼《こうかくろう》を辞《じ》し、
烟花三月《えんかさんがつ》揚州《ようしゅう》に下る。
孤帆《こはん》の遠影《えんえい》碧空《へくくう》に尽き、
唯《ただ》見る長江の天際《てんさい》に流るを。

黄鶴楼~揚州
黄鶴楼~揚州

旧友の孟浩然先生が西方の黄鶴楼を去って、
霞たなびくこの三月、揚州へと下っていく。

(楼に登ってそれを見送ると)一艘の帆かけ舟が
遠く水平線のかなたまでいって見えなくなり、
長江が天のかなたまで流れているのが見えるばかりだ。

語句

■広陵 江蘇省揚州。唐代には繁栄した都市だった。■黄鶴楼 湖北省武昌の西南。長江を見下ろす高台にある楼。崔顥「黄鶴楼」で知られる。 ■烟花  春霞。 ■揚州 広陵 に同じ。金がめいっぱいあって景色のいい揚州の上空を飛ぶことは誰もが夢に描くがけして叶わないことから、「揚州の鶴」というと「叶わない夢」のたとえ。 ■孤帆  一隻の帆かけ舟。 ■遠景  はるか彼方に見える姿。 ■碧空 青空。 ■天際 は天のキワ。空と水の接する部分。

解説

「友を送る」は漢詩において重要なテーマの一つです。「故人」という単語もよく出てきます。「故人」は「死んだ人」でなく「友人」「旧友」のことです。

李白は12歳年上の孟浩然を詩業における先輩として大変尊敬していました。この詩には先輩に対するあたたかい気持ちがあふれています。

孟浩然が乗った舟を李白が楼の上からジーッと見守っていると、舟がどんどん小さくなって、しまいには水平線に溶けるように見えなくなってしまう…。

いろいろなことを、李白は考えたでしょうね。
「先生、また飲みに行きましょうね」
「文学談義に花を咲かせましょうね」
「酒ばっかり飲んで、奥さん泣かせちゃダメですよ。あ、それは俺も同じか!」
などと。

ジーーッと舟を眺めていると、どんどん、どんどん、小さくなっていく…長い時間経過。この長い時間経過を意識して朗読しました。

伝説によると、昔この地の料理屋を訪れた老人が、さんざん飲み食いした挙句、金が無いと言い出しました。

そんな、アンタ通用しませんよ!主人は怒ります。しかし老人は落ち着いたもので、ならばこれを代のかわりにやると、壁に鶴の絵を描き、立ち去っていきました。

この鶴が大繁盛を呼びます。お客さんが酒に酔って歌うと、壁の鶴が舞い踊るのです。

お客さんたちは大喜び。店は大繁盛します。

数後、ふたたび訪れた老人は、もう代としては十分だろうと鶴にまたがり、すーと飛び去った、という伝説が残っています。

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朗読:左大臣光永

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