逢入京使 岑參(けいにいるつかいにあう しんじん)

■【中国語つき】漢詩の朗読を聴く
■【古典・歴史】メールマガジン
■【古典・歴史】YOUTUBEチャンネル

▼音声が再生されます▼

逢入京使 岑參
故園東望路漫漫
雙袖龍鐘涙不乾
馬上相逢無紙筆
憑君傳語報平安

京(けい)に入(い)る使(つかい)に逢(あ)う 岑參(しんじん)
故園(こえん) 東(ひがし)に望(のぞ)めば 路(みち)漫漫(まんまん)たり
双袖(そうしゅう) 龍鐘(りゅうしょう)として涙(なみだ)乾(かわ)かず
馬上(ばじょう)に相逢(あいお)うて紙筆(しひつ)無し
君に憑(よ)って伝語(でんご)して平安(へいあん)を報(ほう)ぜん

現代語訳

東に故郷を眺めやれば、道はどこまでも遠く続いている。
両の袖を濡らして涙が流れ、乾く間も無い。

馬上で出会い頭のこととて、紙も筆も持ち合わせていない。
どうかお願いする。長安に着いたら私の無事を家族に知らせてほしい。

語句

■故園 故郷。ここでは家族のいる長安のこと。 ■漫漫 果てしなく続いているさま。 ■雙袖 両方の袖。 ■龍鐘 涙がはらはらとこぼれるさま。 ■憑 頼むこと。 ■傳語 伝言をたのむ。 ■平安 無事なこと。

解説

【京】は家族のいる長安。砂漠の旅の途中、長安へ向かう使者に会ったのです。長安にいる家族に伝言をたのみたいが、馬上のこととて紙も筆も無い。

どうか口頭で、私の無事を伝えてくれ。そう、頼んでいるのです。

次の漢詩「胡笳の歌

朗読:左大臣光永

■【中国語つき】漢詩の朗読を聴く
■【古典・歴史】メールマガジン
【古典・歴史】YOUTUBEチャンネル