廬山の瀑布を望む 其一 李白

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こんにちは。左大臣光永です。週末の午後、いかがお過ごしでしょうか?

私は先日、本郷の樋口一葉旧居跡を散策してきました。本郷は道が入り組み、登ったり下りたり立体構造があるので、秘密要塞めいて、楽しいですね。

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本日は、この商品に関連して、李白の詩「廬山の瀑布を望む」をお送りします。「飛流直下三千尺」で知られる「其二」は教科書などで有名ですが、 「其一」はそれほど知名度がありません。しかし、 流れ落ちる滝の勢い。飛び散るしぶき。その迫力は、たまらないものがあります。

長いので、三つに区切って解説していきます。

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望廬山瀑布 其一 李白

西登香爐峯
南見瀑布水
掛流三百丈
噴壑數十里
欻如飛電來
隱若白虹起
初驚河漢落
半灑雲天裏

西のかた香炉峯(こうろほう)に登り
南のかた瀑布(ばくふ)の水を見る
流れを掛く 三百丈(さんびゃくじょう)
壑(たに)に噴く 数十里
欻(くつ)として飛電(ひでん)の来るが如(ごと)く
隱(いん)として白虹(はっこう)の起(た)つが若(ごと)し
初(はじ)め驚く 河漢(かかん)の落ちて
半(なか)ば雲天(うんてん)の裏(うち)に灑(そそ)ぐかと

廬山

現代語訳

西のかた香炉峯に登り、
南のかたに滝の水を見る。
流れかかること三百丈。
谷に噴き出すこと数十里。
突如として稲妻が来たかのようで、
ぼんやりと白い虹が起こったようだ。
はじめまず驚いた。天の河が落ちて、
半ば空中の雲の中に注いだかと思うほどだった。

語句

■廬山 現在の江西省(こうせいしょう)九江県(きゅうこうけん)の南にある名山。北に長江が、南に鄱陽湖(はようこ)がある。陶淵明以来、数々の詩に詠まれている名勝。東西二大伽藍があり、南方仏教の中心地。 ■瀑布 滝。 ■香炉峯 廬山の西北にある主峰。 ■欻(くつ) 突如として。 ■飛電 稲妻。 ■隠 おぼろげなさま。 ■白虹 白い虹。 ■河漢 天の川。 ■雲天 空中の雲海。


仰觀勢轉雄
壯哉造化功
海風吹不斷
江月照還空
空中亂潈射
左右洗青壁
飛珠散輕霞
流沫沸穹石

仰(あお)ぎ観(み)れば勢い転(うた)た雄(ゆう)なり
壯(さかん)なる哉(かな) 造化(ぞうか)の功(こう)
海風(かいふう) 吹き断(た)たず
江月(こうげつ) 照らすも還(ま)た空(むな)し
空中 乱れて潈射(そうせき)し
左右 青壁(せいへき)を洗う
飛珠(ひしゅ) 軽霞(けいか)を散じ
流沫(りゅうまつ) 穹石(きゅうせき)に沸(わ)く

現代語訳

仰ぎ見れば勢いはいよいよすさまじく、
なんと烈しいことよ。大自然の仕業は。
長江や鄱陽湖から吹く風は断えることなく、
空中で乱れぶつかりあい、
左右の青く苔むした岩壁を洗う。
飛び散るしぶきはうっすらとしたモヤとなり、
流れる水の泡は大岩に当たって舞い上がる。

語句

■転 いよいよ。ますます。 ■造化 大自然。万物を作りだした造物主。 ■功 仕業。 ■海風 北の長江や南の鄱陽湖(はようこ)から吹き寄せる風。 ■江月 長江に輝く月。 ■潈射 水流がぶつかりあうさま。 ■青壁 青く苔むした岩壁。 ■飛珠 飛び散るしぶき。 ■軽霞 軽やかな水しぶきが作るモヤ。 ■流沫 流れる水のあわ。うたかた。 ■穹石 大岩。 ■沸 舞い上がる。


而我遊名山
對之心益閒
無論漱瓊液
且得洗塵顏
且諧宿所好
永願辭人間

而(しか)して我 名山に遊び
之(これ)に対して 心益(ますます)閒(のびやか)なり
論ずる無かれ 瓊液(けいえき)に漱(すす)ぐを
且(か)つ得たり 塵顔(じんがん)を洗うを
且(か)つ諧(かな)う 宿(もとよ)り好む所に
永く願う 人間(じんかん)を辞するを

現代語訳

かくして私は名山に遊び、
廬山と向かい合って、心はますますのびやかなのだ。
言うまでもなく、山中の泉で口を漱ぐこともできるし、
また俗世間の塵にまみれた顔を洗うこともできる。
またこの場所は、もともとからの私の理想にかなっている。
長く私は希望してきた。俗世間を離れて隠遁生活に入ることを。

語句

■而 かくして。 ■之 廬山を指す。 ■瓊液 山中の泉。不老長寿の泉。 ■塵顔 塵にまみれた顔。塵は俗世間のゴタゴタを暗示。 ■諧 合致する。 ■人間 じんかん。俗世間。

解説

「廬山」は現在の江西省(こうせいしょう)九江県(きゅうこうけん)の南にある名山で、北に長江が、南に鄱陽湖(はようこ)があります。陶淵明以来、多くの文人墨客が訪れ詩にも詠まれている景勝の地です。東西二大伽藍がある南方仏教の聖地でもあります。

教科書でおなじみのは「日照香爐生紫煙」で始まるのは「望廬山瀑布 其二」ですが、この、「其一」も迫力があります。ドドドドドーーと流れ落ちる滝の勢い、水しぶきまで伝わってきそうです。

詩が作られた時期は、李白26歳の時という説と、56歳で廬山に隠棲していた時という二つの説があります。

そして、有名な「其二」です。

望廬山瀑布 李白
日照香炉生紫煙
遥看瀑布挂前川
飛流直下三千尺
疑是銀河落九天

廬山(ろざん)の瀑布(ばくふ)を望む 李白
日は香炉(こうろ)を照らして紫煙(しえん)を生ず、
遥かに看(み)る瀑布(ばくふ)の前川(ぜんせん)に挂(か)かるを。
飛流直下(ひりゅうちょっか) 三千尺(さんぜんじゃく)、
疑(うたご)うらくは是(こ)れ銀河の九天(きゅうてん)より落つるかと

太陽が香炉峰を照らし紫の靄を漂わせ、
遥かに遠い川の向こうには滝がかかっている。

三千尺もの高きからまっすぐほとばしって、
まるで天の川が天の一番高いところから流れ落ちたようだ。

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本日も左大臣光永がお話しました。ありがとうございます。ありがとうございました。

朗読:左大臣

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