遊子吟 孟郊

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遊子吟 孟郊
慈母手中線
遊子身上衣
臨行密密縫
意恐遅遅帰
誰言寸草心
報得三春暉

遊子(ゆうし)の吟(ぎん) 孟郊(もうこう)
慈母(じぼ) 手中(しゅちゅう)の線(せん)
遊子(ゆうし) 身上(しんじょう)の衣(い)
行(こう)に臨(のぞ)んで密密(みつみつ)に縫(ぬ)い
意(い)は恐(おそ)る 遅遅(ちち)として帰(かえ)らんことを
誰(たれ)か言う 寸草(すんそう)の心(こころ)
三春(さんしゅん)の暉(き)に報(むく)い得(え)んと

現代語訳

慈悲深い母は、旅立つ息子のために
糸を手にして着物を縫ってくれた。

出発に際して丁寧に縫い上げながらも、
内心、息子の帰りが遅くなるのではと
心配しているのだ。

息子のちっぽけな心では、
春の光のような母の愛に
とうてい報いることはできない。

解説

【遊子吟】は楽府題。【遊子】は旅人。

孟郊はなかなか進士に合格できず、何十年もの浪人生活を余儀なくされました。ようやく合格した時は50歳近くになっていました(「登科後」)。

この詩はようやく任官がかなった孟郊が任地に老母を呼び寄せたときの作です。

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朗読:左大臣光永

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