望廬山瀑布 李白(ろざんのばくふをのぞむ りはく)

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望廬山瀑布 李白
日照香炉生紫煙
遥看瀑布挂前川
飛流直下三千尺
疑是銀河落九天

廬山(ろざん)の瀑布(ばくふ)を望む 李白
日は香炉(こうろ)を照らして紫煙(しえん)を生ず、
遥かに看(み)る瀑布(ばくふ)の前川(ぜんせん)に挂(か)かるを。
飛流直下(ひりゅうちょっか) 三千尺(さんぜんじゃく)、
疑(うたご)うらくは是(こ)れ銀河の九天(きゅうてん)より落つるかと

廬山

現代語訳

太陽が香炉峰を照らし紫の靄を漂わせ、
遥かに遠い川の向こうには滝がかかっている。

三千尺もの高きからまっすぐほとばしって、
まるで天の川が天の一番高いところから流れ落ちたようだ。

語句

■廬山 陶淵明以来、数々の詩に詠まれている江西省九江市南部の名勝。東西二大伽藍があり、南方仏教の中心地。 ■香炉峰 廬山の主峰の一つ。形が高香炉に似ているからこう呼ぶ。 ■紫煙 紫のもや。山気が日光に霞む様子。 ■前川 川の向こうに。 ■銀河 天の河。銀関雲関とも。同じく李白作「月下独酌」にも「雲関」という語が出てくる。 ■疑是 ~と疑うほどだ。李白「静夜思」「疑うらくは是地上の霜かと」 ■直下 まっすぐに落ちる ■九天 「九重の天」とも。空の非常に高いところ。

解説

望廬山瀑布」二首あるうちの二首目。数ある李白の詩の中で一番カッコいいと思います。

李白56歳の時。廬山近くに隠居していた時の作品と思われます。

「飛流直下 三千尺」の表現がたいへん気持ちいいです。滝が千メートル。そんなバカな。しかし、そこをあえて、言い切る。李白ならではの、ダイナミックさです。ドドドーーッと天からほとばしり落ちてくる感じで朗読しました。やがて李白は永王李リンに招かれ、反乱軍討伐のため廬山を離れることになります。

関連

『奥の細道』「日光」
「望廬山瀑布」からの影響が感じられます。

次の漢詩「子夜呉歌

朗読:左大臣光永

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