玉階怨 李白

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玉階怨 李白
玉階生白露
夜久侵羅襪
却下水精簾
玲瓏望秋月

玉階怨(ぎょくかいえん) 李白
玉階(ぎょくかい)に白露(はくろ)生じ
夜久しくして羅襪(らべつ)を侵(おか)す
却下(きゃっか)す水精(すいしょう)の簾(れん)
玲瓏(れいろう)として秋月(しゅうげつ)を望む

現代語訳

玉階怨 李白
宮殿の玉のきざはしに白露が降りてまいりました。
夜が更けて、薄絹の靴下が濡れます。
水晶の御簾を下ろして、
御簾ごしに秋の月を眺めております。

語句

■玉階怨 宮廷に仕える女性の満たされぬ思いを歌う楽府題。「玉階」は白玉(大理石)の階。階は宮中で、庭から室内へ上がる短い階段。「玉」は大理石。「階」は庭から室内へ上がる短い階段。「怨」は満たされない思い。 ■羅襪 薄絹の靴下。 ■水精 水晶。 ■却下 さっと下げる。 ■玲瓏 透明に光り輝くさま。

解説

「玉階怨」は宮廷に仕える女性の満たされない思いを詠む楽府題。楽府題は詩のお題のことです。「玉」は大理石。「階」は庭から室内へ上がる短い階段。「怨」は満たされない思い。

宮廷につかえる女性が、愛しい人のことを思ってか、あるいは故郷をなつかしんでか、秋の夜、しっとりと物思いに沈んでいるのです。夜空にはこうこうと輝く秋の月。

「これ以上月を見ていたら、気持ちがいっぱいになってしまう…」

そこで女はさっと水晶の簾を下ろした。しかし、簾ごしに、透明感のある月がなおも見えていて、女のわびしい気持ちいっそう掻き立てる…そんな内容です。

次の漢詩「蜀道難

朗読:左大臣光永

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