田家の春望 高適(でんかのしゅんぼう こうせき)
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田家春望
出門何所見
春色満平蕪
可嘆無知己
高陽一酒徒
田家の春望
門を出でて何の見る所ぞ
春色 平蕪に満つ
歎ず可し 知己無きを
高陽の一酒徒
現代語訳
門を出ても何ひとつ見るべきものはない。野原に春が色めいているだけだ。
嘆かわしいのは俺を理解する者がいないことだ。
高陽の一酒徒たる、この俺を!
解説
理解者のいないことを嘆いてる詩です。ちょっとヤケクソ気味ですかね。
【田家】は田舎。【春望】は「春の眺め」のこと(杜甫の「春望」は有名ですね)。
【高陽の一酒徒】は『史記』に見える【レイ食其】の故事から。
劉邦に仕えたレイ食其は最初自分を売り込みに参内した時、その身なりから「儒者に用は無い」と追い返されそうになりました。
レイ食其は怒って、「俺は儒者ではない。高陽の一酒徒(酒飲み)だ」怒鳴ります。劉邦はこの言葉を気に入ってレイ食其を用いたという話です。(「高陽」は地名。レイ食其の故郷)
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