長干行 李白

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こんにちは。左大臣光永です。

私は冷蔵庫の上の面を料理をつくる時の一時スペースとして使うのですが、油や醤油のシミがキツくなってきたので、

重曹をまいて、お湯をふくんだスポンジでふきとると、ピカピカになりました。

マジックリンでいくらみがいても、汚れが落ちなかったのに、重曹はすごいと、実感しました。

しかし普段から、そもそもカバーをかけて使ったほうがいいですね。今後はカバーをかけて使います。

本日は李白の詩「長干行」を読みます。幼馴染と結婚した女性の生涯を、ストーリー仕立てで歌った詩です。

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長干行 李白
妾髮初覆額
折花門前劇
郎騎竹馬來
遶牀弄青梅
同居長干里
兩小無嫌猜
十四為君婦
羞顏未嘗開
低頭向暗壁
千喚不一回
十五始展眉
願同塵與灰
常存抱柱信
豈上望夫臺

長干行 李白
妾(しょう)が髮 初めて額(ひたい)を覆う
花を折って門前に劇(たわむ)る
郎(ろう)は竹馬(ちくば)に騎(の)って来(きた)り
牀(しょう)を遶(めぐ)りて青梅(せいばい)を弄(ろう)す
同じく長干(ちょうかん)の里に居(お)り
両つながら小(おさ)なく嫌猜(けんさい)無し
十四(じゅうし) 君が婦(つま)と為(な)り
羞顏(しゅうがん) 未だ嘗(か)つて開かず
頭(こうべ)を低(た)れて暗壁(あんぺき)に向(むか)い
千喚(せんかん)に一(いつ)も回(めぐ)らさず
十五 始めて眉を展(の)べ
願はくは 塵と灰とを同(とも)にせん
常に抱柱(ほうちゅう)の信(しん)を存(そん)す
豈(あ)に望夫台(ぼうふだい)に上(のぼ)らんや

現代語訳
長干の歌

私の髪がはじめて額を覆った時、
花を折って門前で遊んでいました。
あなたは竹馬(ちくば)に乗って来て、
井戸の井桁をめぐって青い梅で私と遊んでくれました。

私とあなたは同じく長干の里にあって、
お互いに幼く、嫌い疑う心はありませんでした。

十四歳。あなたの妻となり、
恥じらう顔はいまだ開きませんでした。
首をうなだれて暗い壁に向かい、
千回呼ばれても一回も振り返ることは、ありません。

十五歳。心に余裕ができてようやく眉を開き微笑むことができました。
願はくはあなたと共に塵と灰になるまで一緒にいたい。

あの、橋の下で約束をした女との約束を違えないように
雨が降っても待ち続け、ついに溺れ死んだ尾生という男のように、
いつもあなたを信じていました。

望夫台…夫を待つ妻が登るという台に私がまさか上って
あなたの帰りを待つことになるなんて、あの頃は思いもしませんでした。

語句
■長干行 楽府題(お題によって曲に詩をつけるもの)。長江下流の妻の悲哀を歌う内容が多い。「長干」は南京市の南・秦淮河両岸の地域一帯。 ■妾 女性の一人称。「わたし」。 ■郎 若い男性の二人称。「あなた」。 ■竹馬 日本の竹馬とはまったく別のもの。竹竿を馬に見立ててまたがり、前には馬のたてがみに当たる房をつけ、後ろは馬のしっぽに見立てて地面に引きずり、走り廻って遊ぶ。 ■牀 1.ベッド、2.井戸の井桁。『伊勢物語』「筒井筒」との共通性から、2の井戸の井桁とする。 ■嫌猜 嫌い疑うこと。 ■展眉 余裕ができて眉が開きほほえみが生まれること。 ■抱柱信 尾生の信。春秋時代、魯の尾生という男が橋の下で女と待ち合わせが、女が来ないうちに雷雨となった。しかし男は女を待ち続け、ついに水嵩がまして溺死してしまったという『荘子』や『史記』蘇秦伝にある故事。 ■望夫台 旅に出た夫の帰りを待って妻が登ったという台。

十六君遠行
瞿塘灩澦堆
五月不可觸
猿聲天上哀
門前遲行跡
一一生綠苔
苔深不能掃
落葉秋風早
八月蝴蝶來
雙飛西園草
感此傷妾心
坐愁紅顏老
早晩下三巴
預將書報家
相迎不道遠
直至長風沙

十六 君 遠く行く
瞿塘(くとう) 灩澦堆(えんよたい)
五月 觸(ふ)る可(べ)からず
猿聲(えんせい) 天上に哀し
門前 遅行(ちこう)の跡
一一(いちいち)緑苔(りょくたい)を生ず
苔深くして掃(はら)う能(あた)わず
落葉(らくよう) 秋風(しゅうふう)早し
八月 蝴蝶(こちょう)来(きた)り
双び飛ぶ 西園(せいえん)の草
此(これ)に感じて妾(しょう)が心を傷(いた)ましめ
坐(すず)ろに愁う 紅顏(こうがん)の老ゆるを
早晩(そうばん) 三巴(さんぱ)を下らん
預(あらかじ)め 書(しょ)を将(も)って家に報ぜよ
相(あ)い迎うるに遠きを道(い)わず
直(ただ)ちに至らん長風沙(ちょうふうさ)

瞿塘峡

現代語訳
十六歳。あなたは遠くへ旅立っていきました。
(長江の難所として知られる)瞿塘(くとう) 灩澦堆(えんよたい)。
五月は特に水かさが増し、近づくこともできません。
猿の声が、天上から哀しく響くのでしょう。
わが家の門前には、あなたが出発しかねていた時の足跡が残っています。
その一つ一つを、青い苔が覆っています。
苔は深くて掃うこともできません。
落ち葉が散り、早くも秋風が吹いてきました。

八月。つがいの蝶が
西の園の草の上で並び飛んでいました。
これに私は心を動かされ、私の心は痛みました。
虚しく愁います。若き日の血色のよかった顔が、老いゆくことを。
あなたはいつ三巴を下られるのでしょうか。
その時はあらかじめ手紙でわが家に知らせてください。
お迎えするのに遠いなんて言いません。
ただちに長風沙までお迎えに行きます。

語句
■瞿塘(くとう) 灩澦堆(えんよたい) 長江の川下りの難所・三峡の一つ・瞿塘(くとう)峡の西端にある、特に川の流れが速い難所。 ■五月不可觸 五月は水量が増すので、危険で、近づくこともできない。 ■遅行 なかなか出発せずぐずぐずしていた、その足跡。 ■蝴蝶 蝶。 ■坐 虚しく。ぼんやりと物思いに沈んで? ■紅顔 血行のいい若々しい顔。 ■早晩 早いことと遅いこと。いつ夫が帰ってくるか時期がわからないことを言う。 ■三巴 巴・巴東・巴西の三郡の地域。現在の四川省東部一帯。 ■長風沙 現在の安徽省安慶市の長江沿いの地域。南京から350キロ上流にある。

………

前半はおさななじみの男女が結婚して幸せな家庭を築くまで。後半は夫が旅立ち、その帰り妻が夫の帰りを待ちわびるさまが描かれます。

『伊勢物語』「筒井筒」に通じる物語です。幼馴染の二人が念願かなって結婚するが男が浮気する。しかし女の歌のやさしさに男は心を改め、浮気相手のもとに通うのをやめるという筋書きで謡曲などにもなっています。

「竹馬」は日本の竹馬とはまったく別のものです。竹竿を馬に見立ててまたがり、前には馬のたてがみに当たる房をつけ、後ろは馬のしっぽに見立てて地面に引きずり、走り廻って遊ぶものです。「竹馬の友」という言葉の「竹馬」はこの竹馬を指しています。 

朗読:左大臣光永