春夜洛城に笛を聞く 李白(しゅんや らくじょうに ふえをきく りはく)

春夜洛城聞笛 李白
誰家玉笛暗飛聲
散入春風滿洛城
此夜曲中聞折柳
何人不起故園情

春夜 洛城に笛を聞く 李白
誰が家の玉笛ぞ 暗に聲を飛ばす
散じて春風に入って 洛城に 滿つ
此の夜 曲中 折柳を 聞く
何人か起こさざらん 故園の情
 

洛陽

現代語訳

いったい誰だろう、
暗闇の中を笛の音が響いてくる。

笛の音は春風の中に乱れ入り、
洛陽の町中に広がる。

この夜、曲の中に「折柳」の調べを聴いた。
これを聴いて故郷を偲ばない者があろうか。

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語句

■玉笛 玉で作った笛。立派な笛。「玉」がついて「笛」の美称。 ■暗 暗闇という説と、人の姿が見えないという説がある。 ■洛城 唐の副都である洛陽の街。 ■折柳 「折楊柳」の略。昔中国では旅人の安全を祈って柳の木を折ってはなむけとする習慣があった。「折楊柳」は、別れの悲しみを歌った曲。 ■故園情 故郷をなつかしむ気持ち。

解説

李白34、5歳の時、洛陽に半年ほど滞在した時の作です。

夜、洛陽の宿屋に泊まっていた李白。
じいっと天井をながめて、俺の人生これからどうなるのか、
なんて考えていたところへ、

ぴょろー

「ん?…ああ…見事な笛の音だ。いったい誰だろう」

笛の音は春風の中に混じり入り、洛陽の街中に溶け込んでいきます。

曲は「折楊柳」…故郷をなつかしむ歌です。

昔、中国では旅立つ人に柳の枝を折って送る習慣がありました。

「折楊柳」は、旅人に柳の枝を折って送る、この習慣に基づいて、
別れの悲しみを歌った歌です。その歌が、笛で奏でられていたのです。

故郷の蜀を遠く離れて、洛陽の地にいる李白も、
思わず涙ぐんだに違いありません。

朗読:左大臣