将進酒 李賀(しょうしんしゅ りが)

琉璃鍾
琥珀濃
小槽酒滴眞珠紅
烹龍炮鳳玉脂泣
羅屏繍幕囲香風
吹龍笛
撃ダ鼓
細腰舞
況是青春日將暮
桃花乱落如紅雨
勧君終日酩酊酔
酒不到劉伶墳上土

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琉璃の鍾(さかずき)
琥珀濃し
小槽(しょうそう)酒滴って眞珠(しんじゅ)紅なり
龍を烹(に) 鳳(ほう)を炮(つつみや)きして 玉脂(ぎょくし)泣く
羅屏(らへい)繍幕(しゅうばく)香風(こうふう)囲む
龍笛(りゅうてき)吹き
ダ鼓(だこ)を撃ち
皓歯(こうし)歌い
細腰(さいよう)舞う
況(いわ)んや是(こ)れ青春 日 將(まさ)に暮(く)れんとして
桃花(とうか)乱落(らんらく)紅雨(こうう)の如(ごと)し
君に勧む 終日酩酊(めいてい)して酔え
酒は到らず 劉伶(りゅうれい)墳上の土

現代語訳

ガラスの杯は濃い瑠璃色に輝いている。
小さな桶から酒が滴って紅の真珠のようだ。

龍を煮、鳳凰を包み焼きすると、
玉の脂がジュージューと泣くようにこぼれる。

薄絹の屏風と刺繍した幕にいる囲まれた中に、
かぐわしい風がそよぐ。

龍の笛を鳴らし、ワニ皮の太鼓を打ち、
美女が歌い、細い腰をくねらせて舞う。

まして春だ。日はまさに暮れようとしている。
桃の花は乱れ散り、紅の雨のよう。

君に勧める。一日中、ぐてんぐてんに酔いたまえ

かの劉伶でさえ、墓にまで酒を持ってはいけなかったのだ。


李白の「将進酒」とはずいぶん趣が違います。李賀はかなり幻想的で、難解です。 インテリぽさが漂います。

劉伶は竹林の七賢の一人。字は伯倫。部類の酒好きで、常にスコップを持った下男を連れ歩き、自分が死んだら酒樽と一緒にその場で埋めてくれと言っていました。

酒を呑んですっ裸になって寝ているところを人からとがめられると、「俺は 天地を家、部屋をふんどしと考えているんだ、どうして俺のふんどしの中に入ってくるんだ」とやりこめたといいます。

奥さんから飲みすぎをとがめられた時には、禁酒の誓いを立てるからといってお神酒を用意させ、祝詞を上げ、天は私に酒呑みとして名を成さしめたのだ、女の言うことなど聞いていられないと言って神前で大いに酔っ払いました(素晴らしい!!)。

著書『酒徳頌』。「幕天席地(天を幕とし地を席とす)」という言葉はこの『酒徳頌』からの出展です。

ぼくは劉伶の気概を見ていると、松尾芭蕉『奥の細道』に登場する禅僧、仏頂和尚を思わずにはいられません。

「竪横の五尺にたらぬ草の庵 むすぶもくやし雨なかりせば 」と詠みました。

「縦横五尺の小さな草の庵だが、雨さえ降らなければその庵さえいらないのに」ということで、強烈な世捨て人っぷりをかもし出しています。

奥の細道「雲巌寺」
↑こちらで朗読しています。

朗読:左大臣