桑乾を度る 賈島

度桑乾
客舎并州已十霜
歸心日夜憶咸陽
無端更渡桑乾水
却望并州是故郷

桑乾を度る
客舎 并(へい)州 已に十霜
帰心 日夜 咸陽を憶(おも)う
端無くも更に渡る 桑乾の水
却って并州を望めば 是れ故郷

現代語訳

故郷の長安を離れ、并(へい)州に来てから十年になる。
毎日毎夜、長安に戻ることばかり考えていた。

だが今になって思いがけず桑乾川を渡り、
よそに旅立つこととなった。

振り返って并州を眺めると、
さすがに十年も暮らした地だけあって
故郷を離れるような情がこみ上げてくる。

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解説

并州之情(へいしゅうのじょう)」という四字熟語の出典となった故事です。

故郷を離れて遠い并州での暮らしを余儀なくされてたんです。
ああ帰りたい、帰りたい。こんな異国の地はイヤだ。
…そう思いつつも十年が経った。

ところがまた、別の地へ旅立つことになった。

いざ出発という段になると、さすがに十年もいただだけあって、
名残惜しい気持ちがわいてくるんです。第二の故郷とでもいうか…。

心当たりのある方も多いのではないでしょうか。

【并州】は山西省中部の地。【咸陽】は長安西北の町。ここでは長安のこと。

朗読:左大臣