勧酒 于武陵(さけをすすむ うぶりょう)

勸君金屈卮
滿酌不須辭
花發多風雨
人生足別離

君に勧む金屈卮
満酌 辞するを須(もち)いず
花発(ひら)けば風雨多し
人生 別離足る

現代語訳

さあ私の酒を飲んでくれ。
杯いっぱいに注いだこの酒を。遠慮は無しだ。

花が開けばたちまち嵐で吹き散らされてしまう。
人生、どっちを向いても別ればかりだ。

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解説

井伏鱒二の訳がよく知られています。

コノサカズキヲ 受ケテオクレ
ドウゾナミナミト ツガシテオクレ
ハナニアラシノ タトエモアルサ
サヨナラダケガ 人生ダ

太宰治が酔うといつもこの訳詩を口ずさんでいたということです。

王維の「元二の安西に使するを送る」と似た雰囲気です。どちらも友人を見送る詩です。

【金屈卮】 曲がった柄のついた金属製の杯。
【満酌】 杯いっぱいに酒を注いだ状態。
【足る】 とても多い。~だらけだ。

于武陵(810-?)。名はギョウ。字は武陵。杜曲(陝西省西安市の南郊)の人。大中年間(848-859)に進士となるも、役人生活に見切りをつけて各地を放浪。晩年は洛陽の東の嵩山(すうざん)の南に隠棲しました。

朗読:左大臣