汪倫に贈る 李白(おうりんにおくる りはく)

贈汪倫 李白
李白乗舟将欲行
忽聞岸上踏歌声
桃花潭水深千尺
不及汪倫送我情

汪倫(王倫)に贈る 李白
李白舟に乗って将に行かんと欲す、
忽ち聞く岸上踏歌の声。
桃花潭水深さ千尺、
及ばす汪倫が我を送るの情に。

安徽省

現代語訳

李白は舟に乗って今や出発しようとしていた。
ちょうどその時、岸の上から足を踏み鳴らして
歌う声が聞こえてきた。

桃花潭の水は深さが千尺もあるというが、
それでも汪倫が私を送ってくれる情の深さには、
及ばないだろう。

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語句

■汪倫 詳細不明。李白が涇県(安徽省)の桃花潭に遊んだ時、酒を振舞ってくれたらしい。 ■将欲 ~しようとする。 ■桃花潭 涇県(安徽省)の西南にある景色のよい淵。 ■岸上 岸辺。 ■踏歌 大勢が手をつなぎ、足を踏み鳴らして拍子をつけて歌うこと。

解説

李白54歳ごろ、安徽省に遊んだ時の詩です。
安徽省西南に桃花潭という景色のよい淵がありました。。
李白は桃花潭付近の村に何日か滞在し、汪倫という人物の接待を受けました。

汪倫の経歴は不明ですが、自家製の酒を醸造して李白にとても親切にしてくれたようです。

数日間楽しく遊んだ李白は船に乗って、出発しようとします。
その時、

タカタン、タカタン、

景気のいい足音が響いてきました。

「おや?」

李白がふりあおぐと、

タカタン、タカタン、

岸辺で、汪倫はじめ村の人々、若者も、年寄りも、
男も女も手をつないで、足踏みをして、
楽しく踊ってくれていました。

「おお、みんな…」

村で過した楽しい時間が、一気に李白の脳によみがえります。
じわっと涙ぐむ李白。

「ありがとう。ありがとうみんな。楽しかったよ!」

舟の上から手を振り、名残を惜しむ李白。
桃花潭の水は深い。千尺もあるという。しかし…
汪倫が私を送ってくれる、この情の深さには、
とうてい及ばない。心温まる詩です。

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