蚯蚓 梅堯臣(きゅういん ばいぎょうしん)

蚯蚓在泥穴
出縮常似盈
龍蟠亦以蟠
龍鳴亦以鳴
自謂与龍比
恨不頭角生
螻カク似相助
草根無停声
聒乱我不寐
毎夕但欲明
天地且容畜
憎悪唯人情

蚯蚓は泥穴に在り
出縮(しゅつしゅく)すれど常に盈(えい)に似たり
龍蟠(わだか)まれば亦以て蟠まり
龍鳴けば亦以て鳴く
自ずから謂う 龍と比(たぐ)うと
恨むらくは頭角の生ぜざるを
螻カク(ろうかく)は相い助くるに似て
草根 声を停むる無し
聒乱(かつらん) 我 寐ねずして
毎夕 但 明けんことを欲す
天地 且らくは容れ畜(やしな)う
憎悪するは唯人の情なり

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現代語訳

ミミズは泥の穴に住んでいる。
頭を出したり引っ込めたりするだけ。
それでいて本人は満ち足りているようだ。

龍がとぐろを巻けばミミズもぐろを巻く。
龍が鳴けばミミズも鳴く。

本人は龍と並び立っているつもりだ。
しかし惜しいことに頭に角が生えていない。

オケラが加勢しているらしく、
草の根元でさかんに鳴いている。

騒々しさに私は眠ることができない。
毎晩、早く夜が明けることばかり願っている。

それにしても天地はこのような者たちでさえ、
受け入れるのだ。

毛嫌いするのは人間の勝手な情にすぎない。


梅堯臣(1002-1060)。晩唐から始まった表現の華麗さを競う流行とは相反して、 身の回りの地味な物事を詩に詠みました。

猫を祭る」は泣かせる詩です。

朗読:左大臣