蚯蚓 梅堯臣(きゅういん ばいぎょうしん)

■【中国語つき】漢詩の朗読を聴く
■【古典・歴史】メールマガジン
■【古典・歴史】YOUTUBEチャンネル

▼音声が再生されます▼

蚯蚓 梅堯臣
蚯蚓在泥穴
出縮常似盈
龍蟠亦以蟠
龍鳴亦以鳴
自謂与龍比
恨不頭角生
螻蟈似相助
草根無停声
聒乱我不寐
毎夕但欲明
天地且容畜
憎悪唯人情

蚯蚓(きゅういん) 梅堯臣(ばいぎょうしん)
蚯蚓(きゅういん)は泥穴(でいけつ)に在(あ)り
出縮(しゅつしゅく)すれど常(つね)に盈(えい)に似(に)たり
龍(りゅう)蟠(わだか)まれば亦(また)以(もっ)て蟠(わだか)まり
龍(りゅう)鳴(な)けば亦(また)以(もっ)て鳴(な)く
自(み)ずから謂(い)う 龍(りゅう)と比(たぐ)うと
恨(うら)むらくは頭角(とうかく)の生(しょう)ぜざるを
螻蟈(ろうかく)は相(あい)助(たす)くるに似(に)て
草根(そうこん) 声(こえ)を停(とど)むる無(な)し
聒乱(かつらん) 我(われ) 寝(い)ねずして
毎夕(まいせき) 但(ただ) 明(あ)けんことを欲(ほっ)す
天地(てんち) 且(しば)らくは容(い)れ畜(やしな)う
憎悪(ぞうお)するは唯(ただ)人(ひと)の情(じょう)なり

現代語訳

ミミズは泥の穴に住んでいる。
頭を出したり引っ込めたりするだけ。
それでいて本人は満ち足りているようだ。

龍がとぐろを巻けばミミズもぐろを巻く。
龍が鳴けばミミズも鳴く。

本人は龍と並び立っているつもりだ。
しかし惜しいことに頭に角が生えていない。

オケラが加勢しているらしく、
草の根元でさかんに鳴いている。

騒々しさに私は眠ることができない。
毎晩、早く夜が明けることばかり願っている。

それにしても天地はこのような者たちでさえ、受け入れるのだ。

毛嫌いするのは人間の勝手な情にすぎない。

……

梅堯臣(1002-1060)。晩唐から始まった表現の華麗さを競う流行とは相反して、 身の回りの地味な物事を詩に詠みました。

猫を祭る」は泣かせる詩です。

朗読:左大臣光永

■【中国語つき】漢詩の朗読を聴く
■【古典・歴史】メールマガジン
【古典・歴史】YOUTUBEチャンネル