剣門道中微雨に遇う 陸游(けんもんどうちゅうびうにあう りくゆう)

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剣門道中遇微雨 陸游
衣上征塵雑酒痕
遠游無処不消魂
此身合是詩人未
細雨騎驢入剣門

剣門道中(けんもんどうちゅう)微雨(びう)に遇(あ)う 陸游(りくゆう)
衣上(いじょう)の征塵(せいじん) 酒痕(しゅこん)を雑(まじ)う
遠游(えんゆう) 処(ところ)として消魂(しょうこん)せざるは無(な)し
此(こ)の身(み)は合(まさ)に是(こ)れ詩人(しじん)なるべきや未(いま)だしや
細雨(さいう) 驢(ろ)に騎(の)って剣門(けんもん)に入(い)る

現代語訳

旅衣には塵で汚れ酒の跡も染み込んでいる。
長い旅の間、どこへ行っても心を乱された。

自分は果たして詩人としてふさわしいのか。
そうでないのか。

しとしと雨が降りしきる中、驢馬に乗って剣門を超えるのだ。

語句

■剣門関 四川省剣閣県の北にある山。険しい桟道が続く、蜀と外界を隔てる経路。三国時代の蜀の司令官、姜維(きょうい)が魏軍の攻撃を防いだ場所。 ■征塵 旅で衣類についた汚れ。 ■酒痕 酒をこぼした跡。 ■遠游 長旅。 ■合是 まさにこれ。当然~すべきである。 ■詩人未 詩人としてふさわしいのか、そうでないのか。疑問。 ■細雨 しとしと降る雨。  ■騎驢 驢馬に乗って。

解説

陸游48歳の作。成都安撫司参議官として蜀に赴任する途中、剣門関にさしかかって、小雨降りしきる中での感慨です。

次の漢詩「憤りを書す

朗読:左大臣光永

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