重ねて裴郞中の吉州に貶せらるるを送る 劉長卿

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重送裴郞中貶吉州
猿啼客散暮江頭
人自傷心水自流
同作逐臣君更遠
靑山萬里一孤舟

重(かさ)ねて裴郎中(はいろうちゅう)の吉州(きっしゅう)に貶(へん)せらるるを送(おく)る
猿(さる)は啼(な)き 客(かく)は散(さん)ず 暮江(ぼこう)の頭(ほとり)
人(ひと)は自(おのずか)ら傷心(しょうしん) 水(みず)は自(おのずか)ら流(なが)る
同(おな)じく逐臣(ちくしん)と作(な)りて君(きみ)は更(さら)に遠(とお)く
青山(せいざん) 萬里(ばんり) 一孤舟(いちこしゅう)

現代語訳

猿の鳴きしきる夕暮れの時の船着場で、君と別れる。

人は自然と心を痛めるが、そんな人の情などお構いなしに
川の水はどこまでも流れていく。

君も私も同じく左遷された身だが、
君は私よりもさらに遠くに赴任するのだね。

青々としたあの山の彼方、万里の果てまで、
小さな舟に乗って、行ってしまうのだね。

語句

■裴郎中 経歴未詳。 ■郎中 官職名。 ■吉州 江西省吉安市。 ■暮江 日暮れ近い川。 ■逐臣 左遷された臣。 ■一孤舟 一艘の小さな舟。

解説

二人して左遷されたのです。私はここで舟を降り、友人はさらに遠くに赴任していく…。

猿の鳴き声が印象的な詩です。

同じく猿の鳴き声が効果的に使われている詩に、
李白「早発白帝城」杜甫「登高」があります。

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朗読:左大臣光永

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