華北に渡る 王褒(かほくにわたる おうほう)

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秋風吹木葉
還似洞庭波
常山臨代郡
亭障繞黄河
心悲異方楽
腸断隴頭歌
薄暮臨征馬
失道北山阿

秋風 木葉を吹けば
還た洞庭の波に似たり
常山 代郡に臨み
亭障 黄河を繞る
心は異方の楽を悲しみ
腸は隴頭の歌に断たる
薄暮 臨征に馬
道を北山の阿に失う

現代語訳

秋風が木の葉を吹く感じは、
まるで洞庭湖の波が揺れているようだ。

常山は代郡に面しており、
防壁が黄河をめぐってはりめぐらされている。

異国の音楽を聞くたびに悲しい気持ちになる。
「隴頭の歌」を聞くとハラワタが断たれる思いだ。

夕暮れ時に馬を進めていると、
北山のふところで道に迷ってしまった。


王褒(513?-576)。字は子淵。南北朝時代の文学者。南朝の出身だが北朝に捕らえられ、死ぬまで故郷に帰ることができませんでした。同じく南朝出身で北朝に捕らえられたユ信と、並び賞されます。

洞庭湖は湖南省北東部にある湖。多くの詩に詠まれています。松尾芭蕉は「奥の細道」の中で、松島の景色を洞庭湖と比べています。

奥の細道「松島」
↑こちらで朗読しています。

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朗読:左大臣光永

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