鏡に照らして白髪を見る 張九齢(かがみにてらしてはくはつをみる ちょうきゅうれい)
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照鏡見白髪 張九齢
宿昔青雲志
蹉跎白髪年
誰知明鏡裏
形影自相憐
鏡(かがみ)に照(て)らして白髪(はくはつ)を見(み)る 張九齢(ちょうきゅうれい)
宿昔(しゅくせき) 青雲(せいうん)の志(こころざし)
蹉跎(さた)たり 白髪(はくはつ)の年(とし)
誰(たれ)か知(し)らん 明鏡(めいきょう)の裏(うち)
形影(けいえい) 自(みずか)ら相憐(あいあは)れまんとは
現代語訳
若い頃は青雲の志を抱いていたが、
何度も挫折を繰り返しているうちに、
頭に白いものが目立つ歳になってしまった。
いったい誰が考えただろう。
鏡にうつった姿を見ながら自然に憐れみの情がわいてくる、
こんなことになろうとは。
語句
■宿昔 昔。 ■青雲志 立身出世の志。 ■蹉跎 挫折を重ねているうちに。 ■誰知 誰がわかろう。誰もわからない。 ■明鏡 澄んだ鏡。 ■形影 「形」は自分の姿。「影」は鏡に映った像。
解説
張九齢(678-740)。字は子寿。韶州曲江(広東省)の人。二十代で科挙に合格。玄宗皇帝の下、中書令にまでなりますが、李林甫や楊国忠らと衝突しに荊州(湖北省)左遷されます。
官を退いた後は文学・歴史に親しんで過ごしました。
孟浩然と交流がありました。「洞庭湖を望んで張丞相に贈る」で、暗に任官の口利きを頼まれている「張丞相」なる人物が、この張九齢と思われます。
「年老いた自分の姿を憐れむ」という主題は、李白「秋浦の歌」と共通しています。こちらにも「明鏡裏」という表現が出てきます。
李白も張九齢も、玄宗皇帝の宮廷に一時仕えた後、左遷されたという点でも共通してますね。
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