詠史 左思(えいし さし)
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鬱鬱澗底松
離離山上苗
以彼径寸茎
蔭此百尺条
世冑躡高位
英俊沈下僚
地勢使之然
由来非一朝
金張藉旧業
七葉珥漢貂
馮公豈不偉
白首不見招
鬱鬱たり 澗底の松
離離たり 山上の苗
彼の径寸の茎を以て
此の百尺の条(えだ)を蔭う
世冑は高位を躡み
英俊は下僚に沈む
地勢 之をして然らしむ
由来 一朝に非ず
金張は旧業に藉りて
七葉 漢貂を珥しき
馮公 豈に偉れざらんや
白首 招かれざりき
現代語訳
谷底に松が鬱蒼と繁っている。
山上では苗木がのびのびと枝を伸ばしている。
その苗木の茎は一寸ほどしか無いのに、
百尺もあろうという松の枝を覆っている。
名門の子弟は高い位につき、
優れた人物は卑しい身分に貶められている。
生まれた環境がそうさせるのだ。
こんなことは、昨日今日に始まったことではないのだが。
金氏と張氏は先祖の勲功によって
七代にわたって漢の役人として
貂の尾を冠に挿した。
一方、馮公は…人物があれだけ優れていたにも関わらず、
白髪頭になっても官職に縁が無かった。
左思(250?-305?)。字は太仲。斉国臨シ(現山東省)の人。西晋の文学者。
「洛陽の紙価高し」の故事で知られます。
左思が書いた魏・呉・蜀それぞれの首都を題材にした「三都府」があまりのできばえのため、洛陽中の人がこぞって書き写し、そのために紙の値段が高騰しました。
ここからベストセラーになることを「洛陽の紙価高し」「洛陽紙価」と言うようになりました。
この詩は貴族社会を批判した内容です。
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