晩泊岳陽 欧陽修(ばんにがくようにとまる おうようしゅう)

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晩泊岳陽 欧陽修
臥聞岳陽城裏鐘
繋舟岳陽城下樹
正見空江明月来
雲水蒼茫失江路
夜深江月弄清輝
水上人歌月下帰
一闋聲長聴不盡
軽舟短楫去如飛

晩(ばん)に岳陽(がくよう)に泊(とま)る 欧陽修(おうようしゅう)
臥(ふ)して聞(き)く 岳陽城裏(がくようじょうり)の鐘(かね)
舟(ふね)を繋(つな)ぐ 岳陽城下(がくようじょうか)の樹(き)
正(まさ)に見る 空江(くうこう)に明月(めいげつ)の来(き)たるを
雲水(うんすい) 蒼茫(そうぼう)として江路(こうろ)を失(うしな)う
夜深(よるふか)くして 江月(こうげつ) 清輝(せいき)を弄(ろう)し
水上(すいじょう) 人(ひと)は歌(うた)って月下(げっか)に帰(かえ)る
一闋(いっき)の声長(こえなが)くして聴(き)けども尽(つ)きず
軽舟(けいしゅう) 短楫(たんしゅう) 去(さ)って飛(と)ぶが如(ごと)し

現代語訳

舟に寝転がって岳陽城裏の鐘の音を聞く。
舟は岳陽城下の樹に繋いでいるのだ。

その時、ひとけのないひっそりした川の上に明月が見えてきた。
雲と水はどこまでも広がり、果てが知れない。

夜は深く、江上の月は清らかに輝く。
水上で人が歌いながら月の下を帰っていく。

その歌の語尾が長引いて、いつまでも尽きない。
それを聞いているうちに、小さな舟は短い櫂で飛ぶように行ってしまった。

語句

■岳陽 湖南省の北部。洞庭湖の東北に面した都市。または岳陽をふくむ岳州全体。岳陽楼のある景勝の地。杜甫「登岳陽楼」が有名。

 ■空江 ひとけのないひっそりした川。 ■雲水 雲と水。 ■蒼茫 広々して果てしないさま。 ■江月 川の上に出ている月。 ■清輝 清らかな光。月光のこと。 ■水上人 水に浮かぶ舟に乗っている人。あるいは川のほとりにいる人。 ■闋 音楽の終わりの部分。一節の区切り。 ■短楫 短いかい。

解説

夜、舟で旅しているという主題は張継「楓橋夜泊」に通じるものですが、風景だけでなく人物が見えるところがポイントです。

欧陽修(1007-1072)。字は永淑。吉州廬陵(現在の江西省吉安県)の人。王安石蘇軾らの人材を見出した人物。

朗読:左大臣光永

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