贈別 杜牧

贈別 杜牧
多情却似総無情
唯覚罇前笑不成
蠟燭有心還惜別
替人垂涙到天明

贈別 杜牧
多情は却(かえ)って総(すべ)て無情に似たり
唯(た)だ覚ゆ罇前(そんぜん)笑いを成さざるを
蠟燭(ろうそく) 心有りて還(ま)た別れを惜しみ
人に替(かわ)って涙を垂(た)れて天明(てんめい)に到る

現代語訳

別れにあたって贈る詩 杜牧
情が多いすぎることはかえって情が無いことに似ている。
ふと気づくと、酒樽の前で笑うことができない。
蝋燭に心があってまた別れを惜しみ、
私に替わって涙を流しているようで、そのまま朝にまで至った。

語句

■多情 感受性豊かで物事に感じやすいこと。 ■罇 酒樽。 ■天明 夜明け。

解説

「多情はかえって総て無情に似たり」…いいですねえ。わかる感じです。親しい友人?が遠く旅立つにあたって、別れの宴が開かれたのです。

主人公は、笑顔で送り出してあげようと、いろいろ言葉もかけてやろうと、今までの感謝の気持ちを伝えようと、いろいろ考えていたでしょう。

ところが、いざ送別の宴が開かれると、あまりに胸がいっぱいで、言葉も出ず、笑うこともできない自分を見出すのです。

「多情はかえって総て無情に似たり」…うーーん…こういうことってありますよね。

ふと見ると蝋燭が、蝋を垂らしている。その様が、俺の代わりに涙を流しているようだ。そんなこんなで朝にまで至ったという詩です。

朗読:左大臣