金陵の酒肆にて留別す 李白

こんにちは。左大臣光永です。新しい週が始まりましたが
いかがお過ごしでしょうか?私は本日、竜泉寺界隈を取材をしてきました。
竜泉寺は樋口一葉が1年ほどを過ごした場所で小説「たけくらべ」の舞台に
なっています。明治の面影ただよう…とまではさすがに行きませんが、
のんびりした街並みです。

近くには「金太郎飴」の本店があるので、話のネタに買ってきました。
昔は樋口一葉の顔を金太郎飴状態にした「一葉飴」も売ってたそうですが、
残念ながら今は生産していないそうです…。

さて、「中国語朗読つき 李白 詩と生涯」CD-ROM版
好評のうちに発売しております。特典の「解説 安史の乱」は
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本日はこの商品に関連し、
李白の「金陵の酒肆にて留別す」
ほか一篇の詩をお届けします。

▼音声が再生されます▼

金陵酒肆留別 李白
白門柳花滿店香
吳壓酒喚客嘗
金陵子弟來相送
欲行不行各盡觴
請君問取東流水
別意與之誰短長

金陵(きんりょう)の酒肆(しゅし)にて留別す 李白
白門(はくもん)の柳花(りゅうか) 満店(まんてん)香(かんば)し
呉姫(ごき) 酒を圧して客(かく)を嘗めしむ
金陵の子弟 来(きた)りて相(あい)送り
行(ゆ)かんと欲して行かず 各(おのおの)觴(さかずき)を盡(つく)す
請(こ)う 君 問取(もんしゅ)せよ 東流(とうりゅう)の水に
別意(べつい)と之(これ)と誰(いずれ)か短長(たんちょう)と

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現代語訳

金陵の居酒屋にて詩を書いて別れる

白門の柳のワタが店いっぱいに香っている。
呉の地方の娘が酒をしぼって客を呼んで味見させる。
金陵の若者たちが来て、私を送ってくれる。
出発しようとして、なかなか出発できない。めいめい盃を飲み干す。
君よ。尋ねておくれ。東に流れる水に。
別れの思いと、この長江の水と、どちらが長いかと。

語句

■金陵 現江蘇省南京市。東の郊外の紫金山(しきんさん)または鍾山(しょうざん)を金陵山とも言うことから。また楚の威王が、立ち上る王気を鎮めるために金を埋めたという故事から。三国時代、呉の孫権が都を置き建業と称した。南朝の晋・宋・斉・梁・陳は、皆ここを都とした。隋の代はすたれるが唐代に復活。 ■酒肆 居酒屋。 ■留別 旅立つ人が詩を書き残して別れること。 ■白門 金陵の西の門。南京市の雅名。「風吹」になっているテキストもある。 ■柳花 柳絮(りゅうじょ)。柳のワタ。柳の種の上に綿状の毛がつき、初夏に熟すると風に吹かれてふわふわと飛ぶ。その様子を花に見立てて言う。 ■呉姫 呉(現南京や蘇州)の地方の娘。 ■圧酒 新しく醸した濁り酒をしぼって清酒にすること。 ■嘗 味見をさせる。 ■子弟 若者たち。 ■問取 たずねる。 ■之 長江の水の流れをさす。

解説

金陵は現在の南京。三国時代の呉が首都を置いて以来、南朝の国々もこの地に首都を置きました。歴史と伝統のある町で、李白はたいへん気に入っていました。

この詩は金陵に立ち寄った李白が、旅立つにあたって、居酒屋で若者たちと別れの盃を酌み交わしている場面です。

居酒屋のむせるような熱気、呉の娘や金陵の若者たちの、若々しいエネルギー。それらが活き活きと伝わってきます。

李白先生、詩とはどう作るものでしょうか?ははは、それは酒の勢いに任せてこう、書きつけるのだ!さすが先生!そんな、李白と若者たちとの勢いある会話もきこえてきそうな詩です。

李白の情に篤い、感激屋なところが出ていて、微笑ましいです。また、だからこそ、別れの寂しさが、いっそう切実に、迫ってきます。

戴老酒店

もう一遍、李白の酒の詩です。

戴老酒店 李白
戴老黄泉下
還應醸大春
夜臺無李白
沽酒與何人

戴老酒店(たいろうさけてん) 李白
戴老(たいろう)は黄泉(こうせん)の下にて
還(な)お応(まさ)に大春(たいしゅん)を醸(かも)すなるべし
夜台(やだい)に李白無きに
何人(なんびと)に酒を沽(う)り与(あた)う

タイじいさんはあの世でも
やっぱり「大春」の酒を作っているだろうな。
あの世には李白はいないのに、
誰に酒を売り、与えるというのだろう。

李白の行きつけの酒場の、酒作りのじいさんが死んでしまったのです。あんなに酒を飲ませてくれたタイじいさん。タイじいさんの作る「大春」のうまかったこと…。その時、李白の脳裏をよぎります。タイじいさんが、あの世でも黙々と酒を造っている姿が。短くあっけない詩ですが、忘れられない印象を残します。李白のあたたかな人情味が伝わってきて、個人的に大好きな作品です。

いただいたお便りより

18~20才のころハマりました?孔明の気高さや、黄蓋の船につっこまれて燃え盛る自軍の船団を見て全てを悟った鬼神の形相の曹操、紳々竜々の小物感など、ただの人形なのに莫大なお金を掛けた現代の映画やドラマより、はるかに興奮、感動したのを昨日のことのように思い出します。辻村ジュサブロー氏の人形には魂がきっとこもるのでしょう。 エンディングの曲もたまらなかったです??今の若い人たちが見ても必ず感銘を受けると思います??

と、人形劇三国志について、いただきました。紳々竜々の小物感(笑)あれはよかったですね。それでいて、歴史の名場面名場面に必ず顔を出していていました。私も漢詩に興味を持つきっかけは『人形劇三国志』によるところが大きかったです。再放送してほしいですもんですね。

最後に、

商品のお知らせです。

中国語朗読つき 李白 詩と生涯

中国の詩である漢詩を、日本語でだけ読んで、真に味わったといえるでしょうか?やはり中国語でどう発音するのか?というのは、詩吟愛好者の方も、聴きたいところだと思います。特典の「解説 安史の乱」は10月10日までの早期お申込み特典です。お早目にどうぞ。
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本日も左大臣光永がお話しました。ありがとうございます。ありがとうございました。

朗読:左大臣