絶句とは?

こんにちは。左大臣光永です。あなたは、いきなり
母校の学食で食べたくなることって無いですか?
私はあります。

先日もたまたま目白によった時、。
母校・学習院大学の学食で定食を食べてきました。
夏休み中にもかかわらず学生が多く、なつかしい気持ちに
ひたりながらAランチを食べました。

さて本日から数回にわたって、「よくわかる漢詩の知識」として、
数回にわたって、漢詩の決まり事や知識事項について
お話していきます。

発売中の商品「中国語つき 李白 詩と生涯」
http://sirdaizine.com/CD/Rihaku01.htmlにあわせた企画です。

理論ばかりでなく具体的な漢詩の例を引きながら
解説していきますので、楽しみながら漢詩の知識が身につきます。

▼音声が再生されます▼
http://roudoku-data.sakura.ne.jp/mailvoice/KanshiSemi01.mp3

さて、一言で「漢詩」といっても、さまざまな形式があります。
しかし何もかもおぼえる必要は無いのです。
最低限、おぼえるべきは、

「絶句」と「律詩」

この二つです。

絶句とは四句(つまり四行)からなる詩のこと。
律詩とは八句(つまり八行)からなる詩のことです。
これらの形式は唐の時代以降に、定まりました。

このうち、本日は短いほうの「絶句」についてお話します。

絶句とは?

絶句とは四句(四行)から構成される詩の形で、
そのうち一句の字数が
五文字からなるものを「五言絶句」、
七文字からなるものを「七言絶句」といいます。

五言絶句
五言絶句

七言絶句
七言絶句

六言のものもありますが、一般には普及しませんでした。

なぜ絶句というのか?語源は諸説あってわかりません。
律詩(八句)の詩を完成形として、その半分だからとか、
いろいろ説があります。

六朝時代の晋(317年 - 420年)・宋(420年 - 479年)のころ
民衆の間で歌われていた素朴な歌謡が、
絶句のはじまりと言われます。

最初は素朴な田舎歌だったものが、
時を経てしだいに深い内容を持つようになり、
唐の時代に入ってからさまざまな規則も定まって、、
盛唐にいたって詩の形として完成を見ました。

絶句には律詩ほどやかましい規則が無いので、
勢いにまかせて作詩するのに向いています。

五言絶句

まず五言絶句の例を御覧ください。

静夜思 李白

静夜思 李白
牀前月光を看る
疑うらくは是地上の霜かと
頭を挙げて山月を望み
頭を低(た)れて故郷を思う

李白の「静夜思」は故郷をはるか遠く離れた異国の地で
月の光をみながら故郷をなつかしんでいる歌です。
日本人の感性にもあうのか日本でもとても人気の高い歌です。

この、書き下し文ではなく原文のほうをご覧ください。

5言*4句になっていますね。

これが、五言絶句です。

五言絶句は5*4=20文字と、とても短いですから、
すべてを言い尽くすことはできません。むしろ語らない裏に、
いかに余韻を響かせるかが勝負となります。
その点、日本の俳句に近いものがあります。

この詩でも、頭を挙げて山の端にかかる月を見ていると、
だんだん首がたれてきて、気が付いたら頭をたれて
故郷のことを考えていた。長い時間経過がありますが、
「だんだん首がたれてきた」という過程は一切はぶかれています。

「頭を挙げて山月を望む」ことと、
「頭をたれて故郷を思う」ことだけを描き、
その途中の絵を想像させるところに、味わいがあります。

そして五言詩では偶数の句で脚韻をふむという規則があります。
この場合、

静夜思 李白

「霜」と「卿」で脚韻を踏んでいます。

もう一つ、有名な五言絶句の例を上げます。

竹里館 王維

竹里館 王維
独り坐す幽篁(ゆうこう)の裏(うち)
琴を弾じて復(また)長嘯(ちょうしょう)す
深林人知らず
明月来たりて相照らす

王維は李白と同時代を生きた詩人で、熱心な仏教徒であったため、
「詩仏」と称されます。

竹里館は王維が長安の東南、所有していた広大な別荘の一つです。

その竹林の中で、一人シミジミと琴を弾いていという詩です。
実に優雅ですね。風流ここに極まるという感じです。

夏目漱石は小説『草枕』の中で、この詩のことを
「只二十字のうちに優に別乾坤を建立している」と絶賛しています。

そして脚韻に注目してください。これは日本語の朗読を
耳で聴いていてもわかりにくいので、文字を
目で見てほしいです。

竹里館 王維

絶句の規則は、偶数句(二句と四句)で脚韻をふむことでした。
たしかに「嘯」と「照」で韻を踏んでいますね?

こういう決まり事は誰かが最初に決めたことではなくて、
長い歴史の中で、じょじょに整えられていったものです。

七言絶句

次に、「七言絶句」の例を見てみましょう。

早発白帝城 李白

早に白帝城を発す 李白

朝に辞す白帝彩雲の間
千里の江陵一日にして還る
両岸の猿声啼いて住(や)まざるに
軽舟已に過ぐ万重の山

「早発白帝城」は李白の七言絶句の最高峰といわれます。
教科書で習った方も多いでしょう。詩吟でもよく吟じられる演目ですね。
これ、実際に声に出して読んでみてください。最高に気持ちいいです。

七言絶句はこのように、七言*四句の二十八文字からなります。

五言絶句より一句二文字ずつ計八文字多いわけですから、
そのぶん複雑で具体的なことが言えるようになっています。

七言絶句も六朝時代におこり、五言絶句とともに発達し、
盛唐の時代に完成を見ました。

そして七言詩では、1、2、4句で脚韻をふむのが基本です。

この場合、

早発白帝城 李白

「間」「還」「山」が、カン、カン、サンということで
脚韻を踏んでいるわけです。

次回は「律詩」についてお話します。
お楽しみに。

というわけで、

発売中です。

李白の有名な詩28篇を選び、日本語と中国語で朗読し、
現代語訳と解説を加えました。
中国語による抑揚のきいた朗読はとくにおすすめです。
無料のサンプル音声を公開中です。ぜひ聴きにいらしてください。
http://sirdaizine.com/CD/Rihaku01.html

本日も左大臣光永がお話しました。ありがとうございます。